川崎車両は27日、同社の米国現地法人「Kawasaki Rail Car, Inc.」(KRC)を通じ、ニューヨーク市交通局(NYCT)向け新型地下鉄電車R211型について、640両の追加発注の内示を受けたと発表した。2025~2026年にかけて納入予定としている。

  • ニューヨーク市交通局向け新型地下鉄電車R211型

追加分の契約金額は約17億米ドル(約2,581億円)。車両の構体製作をリンカーン工場(Kawasaki Motors Manufacturing Corp., USA、ネブラスカ州)、機器取付・最終組立と機能試験をリンカーン工場とヨンカース工場(ニューヨーク州)の2カ所で行う。

今回の追加発注は、2018年に受注したベース契約535両に付随するオプション契約640両を行使するものだという。オプション行使により、R211型の受注総数は1,175両、契約総額は約32億米ドル(約4,674億円)となる。追加車両の発注以外に、最大437両の付随オプションが契約に残されており、オプションがすべて行使された場合、生産総数は1,612両、受注総額は約41億米ドル(約5,973億円)に。同社における過去最大規模の鉄道車両案件になるとのこと。

R211型は、ニューヨーク地下鉄の近代化や利用者の継続的な増加、旅客サービス向上計画にともない、既存の地下鉄電車の置換えとして導入される車両。監視カメラ搭載、LED照明とデジタル表示機の採用、混雑時のスムーズな乗降りを考慮した従来よりも広いドアが特徴となっている。

川崎車両は、分社化前の川崎重工が1982年にNYCT向け地下鉄電車R62型(325両)を受注して以来、これまでに2,200両を超える納入実績がある。今回の追加発注について、北米市場で長年培った豊富な実績に裏づけられる契約履行能力と、厳しい技術要求への対応力、アフターサービスも含めた顧客価値が高く評価されたと同社は説明する。