米国の対中規制が強化されれば工場売却も検討

米国政府は10月7日、中国にある半導体工場に対する米国製半導体製造装置の輸出規制強化を実施し、SK hynixのような外資系メーカーについてもケースバイケースで許可する可能性を示していた。

これを受けSK hynixは、1年間の18nm以下のDRAM製造装置購入許可(規制の1年間猶予)を米商務省から得たが、1年後にどうなるか不透明であり、今後さらに米中の対立が深まれば、先端DRAM製造用装置を中国に持ち込むことができなくなる可能性もある。そのため「米国の規制強化で中国工場に投資できず、工場運営が困難になるようなことが生じた場合は、工場売却や製造装置の韓国移転など様々な検討が必要になる」といった意向を示している。

EUV露光装置納入が以前から不許可

SK hynixは2021年7月に、韓国利川の本社工場にてEUV露光装置を採用した第4世代10nmプロセス技術「1α-nm世代」を適用したモバイルDRAMの量産を開始したが、同社のDRAM製品の約半分を製造している中国・無錫工場への導入は、未だに実現されていない。米国政府がオランダ政府に、ASMLのEUV露光装置を中国に出荷しないように要請しているとも言われており、ASMLも「出荷できないのはオランダ政府の輸出許可が得られないため」とコメントする事態となっている。

このため、無錫工場に将来に渡ってEUV露光装置が導入できないようなことになれば、中国での次世代DRAM製造ができず、競合に対する競争力を失う可能性が出てくることとなるため、そうなる前に無錫工場を売却するか、装置を韓国へ移転するか、といった選択を迫られることになると見られている。