1998年から3年間、NHKの英語教育番組『英語であそぼ』(のちに『えいごであそぼ』に改題)に出演していた、“クリスお姉さん”ことクリステル・チアリ。現在は、ナレーターや声優、ライブ配信アプリ「17LIVE」のイチナナライバーなど、声にまつわる様々な分野の仕事で活躍しているが、実は、JR東日本をはじめ、全国50路線以上で車内自動放送の英語アナウンスを担当しているのも彼女なのだ。

マイナビニュースでは今回、そのクリステル・チアリにインタビュー。『英語であそぼ』時代の思い出や、鉄道の車内英語アナウンスを担当する上で心がけていることなど話を聞いた。

  • クリステル・チアリ 撮影:島本絵梨佳

■声を使って表現をする世界に憧れ

クリスの父親は、フランス出身のギタリストで、タレントとしても活躍するクロード・チアリ。母親も元モデルという芸能一家で育ったこともあり、自然と芸能の道に興味を持った。

「父が芸能の仕事をしていましたし、ハーフということもあり、幼い頃は、いじめられっ子だったんです。クラスの子から『おい、家に“ちょっと雑炊”1年分あるんやろ!』と、父が出演していたCMのことでからかわれて、“いや、もらったことないけど!”って(笑)。当時は嫌なことがいっぱいあって、本当に殻に閉じこもってる子どもでしたが、NHKの教育番組を観てる時だけは嫌なことも忘れられたんです。父が音楽の練習をしているのをおうちで毎日聴いていたこともあって、5歳の時にはもう、歌のお姉さんや歌の仕事など、芸能のお仕事をすると決めていました」

幼いクリスの心を動かした職業は他にもあった。

「芸能のお仕事以外だと、イルカが大好きなので、イルカの飼育員さんか研究者になりたいと思っていました。あとは、プロレスラーって選択肢も。『キン肉マン』が大好きなんですけど、最初観た時に、解説のアデランス中野さんと実況の吉貝アナに『なんだ、これは!?』と衝撃を受けたんです(笑)」

「当時テープを入れたら音声が流れるオモチャがあり、それでずっとアデランス中野さんと吉貝アナの解説と実況を聴いていました。自分が今観てるものを言葉で伝えられるようになったら、どれだけカッコいいんだろうと。幼稚園くらいの時はずっとマネしていましたね。声を使って表現をする世界に憧れがあって、大人になったらやると決めていました」

■両親からの反対「大学に行ってほしい」

幼少期に思い描いた芸能界入りの夢。しかし、両親は芸能の仕事に就くことに反対していたという。そして、もしその道に進むのだとしても、一切手は貸さないと宣言された。

「周りでは早くからモデルの仕事を始めてる子もいたのですが、私の家では、高校を卒業するまでは芸事は絶対にダメ、と。お母さんには『大学に行ってほしい』とも言われて、私は大学に行くんだったら、ニューヨークやカリフォルニアに留学して、音楽やダンスの学校で学びたいと思ったのですが、『そんなのにはお金出しません』と言われました」