まるでゲーム「デス・ストランディング」のような見た目の、「人間の体温と廃プラスチックでミールワームを育てる」スーツが登場し注目を集めている。
「デス・ストランディング」は、コジマプロダクションが2019年に発表したゲーム作品。デス・ストランディングと呼ばれる謎の大災害により滅亡した世界を舞台に、伝説の配達人であるサム・ポーター・ブリッジスが世界の復興を果たすため、一人、北米大陸横断に挑むという物語。作中でサムは、胸部にゲームで重要な役割を果たす赤ちゃんを入れるBBポッドがついた防護服が特徴的だが、そんな見た目のスーツが現実に登場した。
話題のスーツは、建築家のPavels Liepinsさんが開発した「Inxect suit」だ。食糧難とプラスチック汚染という、将来の重要な問題に対処するために開発したそうだ。スーツには人間とミールワームを共生させる機能が組み込まれており、これによりスーツ単独でのプラスチック廃棄物管理およびタンパク質収穫システムを実現している。また、このスーツ、雨風や放射線、有害廃棄物、空気中の病原体などから保護されており、過酷な環境下での運用にも適しているという。
スーツのミールワーム共生システムは具体的には、スーツの胸部に、プラスチックを食べるミールワームのコロニーを設けている。人間が活動することで発生する熱を利用しており、人間から出た体温と湿気を、このスーツ胸部のミールワームのコロニーに送ることで、ミールワームの生息に最適な環境を保てるようになっている。コロニーの温度や湿度、CO2濃度などをセンサーで常に計測し、制御することで、コロニーは長期間の環境維持に対応しているそうだ。
そしてこのミールワームは、有毒なプラスチック廃棄物を安全に消費し消化するだけでなく、排泄物も、肥料やバイオプラスチックとして利用することができる。それだけでなく、栄養価の高い肉の代替品に、つまり人間の食料になる。確かに素揚げとかを見たこともあるが、ミールワームは人間の消費用に簡単に加工することが可能なんだとか。
ちなみに、2020年11月には、スコットランドのフェロー諸島で「Inxect Suit」のプロトタイプのテストが行われている。結果としては、ミールワーム200グラムで1時間あたり3~5ミリグラムのポリスチレンを分解でき、1日で100匹のミールワームで39ミリグラムのポリスチレンを分解できたのだそう。
ネット上では「一瞬、DEATH STRANDINGのあのスーツかと思った」「スーツ開発者もデスストユーザーだろw」「Fallout5の装備で出てきそう」などの声が寄せられた。