実りの秋、食欲の秋、美食の秋。そんな秋真っ盛りの10月15日、16日に、過去最大級のチーズイベント「Cheese Fun!Fan!Fun!」が、新宿住友ビル三角広場で開催され、日本中のチーズLOVERたちが集結。毎夜酒のお供にするほどチーズを偏愛する筆者が、文字通りチーズにかじりついて知識を深め、おいしさを堪能してきたので、その詳細をレポートする。

  • 過去最大級のチーズイベント「Cheese Fun!Fan!Fun!」

これはチーズプロフェッショナル協会が、日本のチーズのおいしさを伝えるために主催している人気イベント。5回目を迎えた今年は、国産ナチュラルチーズのコンテスト「Japan Cheese Awards2022」と、国産ナチュラルチーズの生産者との交流や試食体験ができるイベント「第8回 日本の銘チーズ百選」の同時開催ということで、2日間で5,000人超が来場し、大盛況を博した。

  • 2日間で5,000人超が来場し大盛況の会場

会場には、イベントタイトルの「Fun!Fan!Fun!」になぞらえ、チーズについて「知る」「生産者の魅力に触れる」「おいしさを体験する」3つのエリアを設置。チーズの知られざる歴史や豆知識などを学べる展示の数々に興味津々! 

  • チーズの豆知識や、知られざる歴史を学べるコーナーも充実

チーズの誕生は、紀元前6,500~5,500年ごろ。チグリス川とユーフラテス川の間で栄えてメソポタミア文明の地で生まれたと一般的には考えられているそうだ。ただ、地中海に面したクロアチアのダルマチア地方説や、古代エジプトのメンフィスの遺跡説もあり、起源はミステリーに包まれている。そんな太古の昔から愛されていたとは!

  • いろんな種類のチーズを丹念に紹介するコーナーも。ちなみにこれは食べられません

日本にチーズらしいものが初めて伝わったとされるのは、飛鳥時代の文武4年(西暦700年)。中国から「蘇(そ)」というチーズに近いものが伝わり、国内でも作って天皇に献上されたという記録が残っているとか。その後も皇族や貴族、一部の大名などの間で愛用されてきたものの、庶民にはなかなか広まらず……。

  • 1人当たりの年間消費量では世界29位の日本。ヨーロッパの消費量すごいな

チーズの歴史が動いたのは、明治維新以降。西洋から酪農とチーズの製法が伝わり、昭和初期になると、アメリカで大きく発展したプロセスチーズの製造技術が日本にも導入。戦後には安定した生産と流通が可能となり、輸入チーズとともに一般家庭にも広まっていった。

そして現在、日本のチーズ工房は北海道から沖縄まで今や300軒を超え、それぞれの地域の新鮮なミルクから特色あるチーズづくりが行われるまでに。最近は、国内のチーズも世界中から高い評価を受けるようになっている。

  • 本イベントの目玉「運命のチーズ探し」!

そんな注目の国内チーズが味わえる「運命のチーズ探し体験」も、本イベントの目玉のひとつだ。入り口で渡された地図を頼りに、質問に答えながらエリア内を探索すると、「Japan Cheese Awards2022」に出品している約100工房の200種類のチーズから、“あなたの運命のチーズに出逢える”というもの。8種類のチーズアソートになっており、日本全国のチーズを食べ比べすることができる。

  • 8種類のアソートの食べ比べで、ビールも進む進む

8種類とも個性的で味わい深いのだが、特に筆者が気に入ったのが、「ジャパンブルーおこっペ」と「グリルチーズ バジルトマト」。「ジャパンブルーおこっぺ」は、北海道の「冨田ファーム Fermier Tomita」の青カビタイプのチーズ。

  • 筆者が運命を感じた青カビタイプのチーズ「ジャパンブルーおこっぺ」

自社牧場の乳牛から搾られる高タンパク・高脂肪のミルクを使用し、天然色素で色付けした山吹色のチーズ。独特のクセがなく、ナッツのような香りと豊かなミルクの風味が広がるので、青カビタイプが苦手な方も概念が変わるかもしれない。上品な旨いと口どけがあり、ワインはもちろん、日本酒にも合いそうだ。

もうひとつの「グリルチーズ バジルトマト」は、静岡県の「チーズ工房HAKU」のフレッシュタイプで、なんと焼いても解けない不思議なチーズ。日本に約1,000頭しかいない乳牛「ブラウンスイス」の生乳を発酵させずにそのまま固めたチーズなので、酸味が少なく、もぎゅっとした独特の新食感がたまらない。どちらもお酒が進む、進む!

8種類食べて、日本のチーズの多彩な個性や、繊細な技術による豊かな味わいを感じることができた。これまでチーズのことを何も知らずに、ただただ旨いというだけでバクバク食べていたことを反省。いや、それで全然いいのだけど、チーズ文化の発展を知り、その奥深さを知ってから食すと、さらに美味しく味わえるということを、このイベントを通して知ることができた。

  • 栄養面からもチーズの偉大さを実感!

それに、ご存じのようにチーズってすごく体にいい。筋肉増進、ダイエット、美肌づくりに良いだけでなく、血圧上昇を抑える働きや痛風予防、腸活、ストレスを和らげる効果も。美味しくて、体にもいいなんて、なんて素晴らしい食べ物でしょう!

  • 約100工房の200種類のチーズがずらり

ちなみに本イベントでは、国産ナチュラルチーズの品質評価のコンテスト「Japan Cheese Awards2022」のグランプリの発表が行われた。過去最多となる110工房311品のエントリーの中からグランプリに輝いたのは、神奈川県・タカナシ乳業株式会社の「Brise de mer CAMEMBERT」と、北海道・美瑛放牧酪農場の「フロマージュ ド 美瑛 夏ミルク」。初のWグランプリ受賞となった。こちらもぜひ機会があったら味わってみたい。

  • とろ~りチーズを頭にかけるショットが撮れるフォトブースも

これまでは輸入チーズばかり食べていたが、今後はもっと国内チーズにも注目していきたいと思う。チーズの奥深い世界を知れた本イベントは、大変実りある時間を過ごせた。来年も開催されるなら、ぜひ参加したい。