MMD研究所は10月20日、2022年9月に実施したMNOのシェア・満足度調査の結果を発表した。メイン利用のスマホ契約では、MNO(オンライン専用プラン/サブブランド含む)が90.1%に対してMVNOは9.9%。ブランド別で最も多かったのはdocomoの29.2%で、総合満足度の首位はLINEMOとなった。
今回の調査では、18歳~69歳の男女40,000人を対象とした予備調査を行い、そこからMNOを利用している18歳~69歳の男女2,700人を抽出し、本調査を行っている。
メイン利用の通信サービスとして、オンライン専用ブランド/サブブランドが増加
上記の予備調査で、通信契約をしているスマートフォンを所有していたのは36,535人。この36,535人を対象としてメインで利用している通信サービスを聞いた結果が次の左のグラフ。さらに通信契約しているサブ利用のスマートフォンがあるという3,406人を対象としてその通信サービスを聞いた結果が右のグラフとなる。
メイン利用で最も多かったのは「docomo」の29.2%で、以下「au」(18.0%)、「SoftBank」(11.5%)と各キャリアのメインブランドが続く。それに続くのが「Y!mobile」(9.5%)で、「Rakuten UN-LIMIT」(7.5%)はそれに次ぐ位置となった。
ブランド種別でいうと、「docomo」「au」「SoftBank」「Rakuten UN-LIMIT」の各キャリアメインブランドが合計で66.2%で全体の約3分の2を占める。「ahamo」「povo」「LINEMO」のオンライン専用ブランドは計8.0%、キャリアのサブブランドは15.9%。2022年2月の調査と比較すると、オンライン専用ブランドは1.0ポイント、キャリアサブブランドは1.8ポイントの増加となった。
サブ利用のサービスは、1位「docomo」(20.3%)はメイン利用と変わらないが、2位に「Rakuten UN-LIMIT」(14.2%)が入っており、以下「au」(12.9%)、「SoftBank」(9.0%)と続く。
MVNOはメイン利用で9.9%と全体の約1割。サブ利用では19.9%となっており、「Rakuten UN-LIMIT」と同様の傾向だ。
各ブランドのシェア推移では、auの減少とUQ mobileの増加が目立つ
先のメインとして利用されている通信サービスの設問について、MNOのサービスを抽出し、2021年8月からのシェア変化をまとめたのが次の表。全体として、楽天モバイルを除く各キャリアのメインブランドは減少傾向、オンライン専用ブランドとサブブランドは減少傾向が続いている。
前回調査(2022年2月)および約1年前の調査(2021年8月)との比較で、目立つのは「au」の減少と「UQ mobile」の増加だ。後述のとおり、「UQ mobile」の利用者は同じKDDIが提供するメインブランドである「au」からの移行ユーザーが多く、KDDIではメインブランドからサブブランドへの移行が進んでいると考えればこの増減と合致する。
「Rakuten UN-LIMIT」は前回調査に続き若干の減少。“ゼロ円プラン”終了の影響もありそうだが、調査を実施した9月はまだ楽天ポイントプレゼントによる実質無料期間であり、実質無料期間が終了する11月1日以降はさらに離脱が増える可能性があるので目が離せないところだ。
オンライン専用ブランド/サブブランドは同一キャリアの移行が多い
三大キャリアのメインブランド以外のサービスをメインとして利用している人に、その前に利用していたサービスを聞いた結果が次のグラフ。「Rakuten UN-LIMIT」をのぞいては、同一キャリアのメインブランドからの移行がもっとも多い。
また前回の調査とくらべて目立つのは、「povo」「LINEMO」で少なくないユーザーが「Rakuten UN-LIMIT」から移行してきているという点。とくに「povo」への「Rakuten UN-LIMIT」からの転入は前回調査ではさほど目立っておらず、“ゼロ円プラン”終了の影響と考えてよいだろう。また、全体としてMVNOからの移行が前回調査より増えており、オンライン専用ブランドやサブブランドによる価格競争でMVNOが苦しい立場にあることがうかがえる。
各ブランドの総合満足度は「LINEMO」がトップ
MNO利用者2,700人を対象に、利用しているサービスの満足度を聞いた結果が次の表。満足度は、料金の安さやわかりやすさを聞いた「料金部門」、端末や料金プランの豊富さにあたる「サービス部門」、通信速度や繋がりやすさの「通信品質部門」、サービス情報の充実度や各種手続きのしやすさなどを評価する「顧客サポート部門」のそれぞれについて満足度を尋ね、各部門のスコアから総合満足度を算出している。
総合満足度トップは「LINEMO」で、料金部門でも首位。サービス部門と顧客サポート部門では「Y!mobile」が、通信品質部門では「ahamo」が部門トップとなっている。ちなみに2022年2月に実施した調査では料金部門とサービス部門で首位を獲得した「Rakuten UN-LIMIT VI」が総合首位となっており、楽天モバイルのプラン戦略の変更が大きく影響した格好だ。
顧客推奨度は「ahamo」と「LINEMO」が比較的高いスコア
MNO利用者を対象に、利用しているサービスについて家族や友人に薦めたいかどうかを10点満点でスコアをつけてもらい、それを集計したNPS(ネット・プロモーター・スコア)をまとめたのが次のグラフ。全体として利用中のサービスに対して批判的な回答者が多いが、その中で比較的高い(中立に近い)スコアとなったのが「ahamo」「LINEMO」だった。
3大キャリアのメインブランドでマイナスが大きく、オンライン専用ブランドとサブブランドでマイナスが小さくなるのは従来の傾向どおり。「Rakuten UN-LIMIT」については、前回マイナス20.3だったのが今回はマイナス46.3と大きく悪化しており、プラン戦略の変更がネガティブに反応されていることがわかる結果となった。
調査概要
- 調査名:2022年9月MNOのシェア・満足度調査
- 調査期間:2022年9月17日~9月22日
- 有効回答:<予備調査>40,000人(人口構成比に合わせて回収)、<本調査>2,700人(各サービスごとに300人)
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:<予備調査>18歳~69歳の男女、<本調査>MNOを利用している18歳~69歳の男女
- 設問数 :<予備調査>15問、<本調査>8問