また、今回の治療は患者のうつ症状にも効果があることが示されたという。メカニズムとしては、以下の3点などが想定されるとする。
- 脳内ドーパミン系が賦活される
- 前脳基底部と背外側前頭前野を結ぶコリン作動性線維連絡の強化
- 長期増強(神経細胞間のシナプスにおいて伝達効率が長期的に上昇する現象)の強化
よって重症例では、ドーパミン系の活性、コリン作動性線維連絡、長期増強が不可逆的に低下しているため、rTMS治療効果が認められないと考えられるとした。
これまでは、軽度~中程度(MMSE15~25点)のアルツハイマー患者の症状改善に関して、デネペジルを含む4種類の保険適用薬のみが投与され、効果も限定的だったとする。それに対しrTMSは、今回の研究成果により、症状改善が期待され、その効果は即効性があり、改善量も内服薬と比べて劣らないことが確認された。
それに加えてrTMSはうつ病に有効であることから、すでに保険適用となっており、今回の試験でも、アルツハイマー患者のうつ症状が改善され、考え方が前向きになることが示されたとしている。