アップルは10月19日、いわゆる“無印iPad”と呼ばれるスタンダードなiPadをモデルチェンジして第10世代モデルを発表した。iPad ProやiPad Airと似たフラットなオールスクリーンデザインに一新して伝統の丸いホームボタンを廃止したほか、カラーは明るく鮮やかな4色を用意する。前面カメラは、iPadとしては初めて長辺側に移動し、横置きにしたときに視線が不自然にならないようにした。

  • iPad Air風のオールスクリーンデザインに一新した“無印iPad”。液晶パネルも10.9インチに大型化した。前面カメラがパネルの長辺側の中央に移動したのがトピックといえる

チップはA14 Bionicを搭載。端子はこれまでのLightningからUSB Type-Cに置き換わり、ヘッドホン端子は省かれた。Apple Pencilはこれまでと同様に第1世代が使えるが、充電は別売の「USB-C - Apple Pencilアダプタ」(1,380円)を使う必要がある。カバー兼キーボードは、新しいMagic Keyboard Folioに対応した。Wi-Fi+Cellularモデルは、無印iPadでは初めて5G対応となった。

価格はWi-Fiモデルが68,800円から、Wi-Fi+Cellularモデルが92,800円から。機能や装備を全体に底上げしつつ、Apple M1やM2チップを搭載するiPad AirやiPad Proほどの高性能化は見送り、手ごろに買えるiPadのスタンダードモデルとして価格上昇を抑えた。発売は10月26日。従来デザインの第9世代モデル(49,800円から)は併売する。

  • A14 Bionicの搭載でパフォーマンスが向上し、3Dグラフィックスを用いた重量級ゲームもストレスなく楽しめる

第10世代iPadのおもな特徴は以下の通り。

  • iPad ProやiPad Air似のオールスクリーンデザインに一新
  • ディスプレイは10.9インチに大型化(2360×1640ドット、輝度は500ニト)
  • カラバリは明るく鮮やかな「ブルー」「ピンク」「シルバー」「イエロー」の4色を用意
  • Touch IDは本体上部の側面に配置(iPad Airと同じ)
  • 前面の超広角12MPカメラは長辺側の中央に移動(iPad初)、センターフレームに対応
  • チップはA14 Bionicを搭載
  • 端子はUSB Type-Cに変更
  • ストレージは64GBと256GBの2種類
  • Apple Pencilは第1世代に対応、充電は付属の「USB-C - Apple Pencilアダプタ」(1,380円)を使用。このアダプタが付属するApple Pencil(第1世代)も新たに投入(14,880円)
  • Wi-Fi+Cellularモデルは5G対応に、eSIMにも対応
  • Wi-FiはWi-Fi 6に対応
  • iPadで初めてプリント基板のメッキに再生金を、ロジックボードに再生銅を採用するなど、環境にも配慮
  • 別売で新デザインになったMagic Keyboard Folioを用意(38,800円)

前面カメラの位置変更で、Web会議に向くiPadに進化

デザインは、無印iPad伝統の丸いホームボタンをやめ、ベゼルが狭いオールスクリーンデザインに一新した。Touch IDは本体上部の側面に配置し、全体にiPad Airに近い仕上がりになっている。カラーバリエーションは「ブルー」「ピンク」「シルバー」「イエロー」の4色で、全体に鮮やかな色あいでまとめた。

  • ブルーモデル

  • ピンクモデル

  • シルバーモデル

  • イエローモデル

注目したいのが、前面の超広角12MPカメラがiPadでは初めて長辺側の中央に搭載されたこと。Web会議ではiPadを横置きで使うことが多いものの、横置きだとカメラが左端に寄ってしまうため、視線が微妙にズレてしまうのが気になった。長辺側だと、横置き時に視線が自然になるため、時代に合わせた改良といえる。前面カメラはセンターフレームにも対応し、自分の姿を常に中心に配置してくれる。

  • 前面カメラが長辺側にあるのが分かる。いまのところ第10世代iPadのみの装備となる

デザインの変更に合わせ、底面の端子もiPad Airと同様にこれまでのLightningからUSB Type-Cに変わった。注意したいのがApple Pencilで、第2世代のApple Pencilに対応するiPad Airとは異なり、第1世代のApple Pencil対応となっていること。本体の端子がUSB Type-Cになったことで、Apple Pencilの充電は別売の「USB-C - Apple Pencilアダプタ」(1,380円)が必要になる。なお、このアダプタが付属するApple Pencil(第1世代)も新たに投入する(14,880円)。

  • Apple Pencilは意外にも第1世代対応となった

  • 充電には、別売の「USB-C - Apple Pencilアダプタ」が必要になる

ネットワーク機能も強化された。Wi-Fiは新たにWi-Fi 6に対応したほか、モバイル通信は5G対応になった(Wi-Fi+Cellularモデル)。モバイル通信はeSIMにも対応する。

価格は、64GBのWi-Fiモデルが68,800円、64GBのWi-Fi+Cellularモデルが92,800円と、従来デザインの第9世代モデル(49,800円~)と比べるとだいぶ高くなった。ただ、米国での価格はそれぞれ449ドルと599ドルなので、日本の価格は円安の影響を大きく受けたといえる。第9世代モデルは今後も併売する。