東京商工リサーチは10月17日、「円安に関するアンケート」調査の結果を発表した。調査は10月3日〜12日に実施したもので、有効回答5,019社を集計、分析している。

  • 今年9月(1ドル=143円前後)の為替水準は貴社の経営にとってプラスですか?マイナスですか?(全企業)

まず、9月における1ドル=143円前後の円安が経営に及ぼす影響について、「マイナス」と回答した企業は54.1%であった。前回調査(8月、1ドル=137円)の48.7%と比べ 5.4%、1ドル=130円前後だった6月調査(46.7%)からは7.4%の悪化となっている。

一方で、「プラス」は2.5%、「影響はない」は23.4%に。規模別では、「マイナス」は大企業が50.2%に対し、中小企業は54.7%で、中小企業が4.5%上回った。

続いて、「プラス」「マイナス」と回答した企業をそれぞれ業種別で見てみた。「プラス」と回答した業種トップは「ゴム製品製造業」の12.9%であった。以下、「業務用機械器具製造業」が12.0%、「電子部品・デバイス・電子回路製造業」が10.5%で続く。

  • 円安が経営に「プラス」業種別

上位10業種中8業種を製造業が占め、輸出産業で「プラス」もあったものの原材料の輸入価格上昇などの影響もあり、「プラス」の構成比が1割を超えたのは上位3業種のみであった。

一方で、「マイナス」と回答した業種トップは「飲食店」(85.1%)。次いで、「繊維・衣服等卸売業」(83.3%)、「食料品製造業」(80.8%)が続いている。また、上位10業種中、食品に関連した業種が3業種を占めた。

  • 円安が経営に「マイナス」業種別

次に、望ましい円相場について2,663社から回答を得た。最多レンジは、「110円以上115円未満」の27.3%。次いで、「120円以上125円未満」が25.5%、「115円以上120円未満」が19.7%で続いた。「110円以上125円未満」のレンジの企業が72.6%を占めている。最頻値は、全企業が110円、大企業が120円、中小企業が110円。

  • 望ましい円相場は1ドルいくらですか?

輸出を手掛ける945社に、商品や部材の輸出量を昨年より変化させたか尋ねてみた。すると、「増加させた」は15.9%、「現時点で変化ないが、今後増加させる」は22.1%で、合わせて38.0%が輸出量の「増加」に言及した。前回調査の29.5%から8.5%の大幅上昇となっている。

  • 商品や部材の輸出量を昨年より変化させましたか?

輸出量「増加」の業種別では、「飲料・たばこ・飼料製造業」が100.0%で最多 に。上位10業種のうち、製造業は5業種、卸売業は3業種であった。

輸入を手掛ける1,548社から商品や部材の輸入量を昨年より変化させたか聞いてみると、「減少させた」は13.6%、「現時点で変化ないが、今後減少させる」は10.5%で、合計24.2%が輸入量の「減少」に言及した。

  • 商品や部材の輸入量を昨年より変化させましたか?

輸入量「減少」の業種別では、「不動産賃貸業・管理業」が80.0%で最多となっている。