ここ最近、新しいモビリティとしてにわかに注目を集めている電動キックボード。種類が多くてどれを選んでいいか迷うのだが、今回は販売元が「原付一種クラス最高レベルの性能」と胸を張る「ZERO9」という機種を体験してきた。原付バイクより気軽に乗れて、価格は電動アシスト付き自転車並みの電動キックボードはヒットするのだろうか。

  • SWALLOWが販売する電動キックボード「ZERO9」

    SWALLOW(神奈川県横浜市)が販売する公道走行可能な電動キックボード「ZERO9」。販売価格は13.58万円と、ちょっとした電動アシスト自転車なみだ(写真はアソモビ2022 in Makuhariで撮影)

たたんで運べるお手軽キックボード

SWALLOWがシンガポールから取り寄せ、日本の保安基準に合わせてカスタムを施した電動キックボードのZERO9。椅子のない見た目はキックボードそのものだが、乗るには免許とナンバープレートが必須で、ヘルメットの着用、自賠責保険への加入も必要となる。このあたりの条件は、ほとんど原付バイクと変わらない。

モーターの定格出力は600W、バッテリー容量は624Wh。最高時速は40キロで、フル充電時は40キロを走行できる。販売元によれば、原付一種に分類される電動キックボードとしてはクラス最高のパフォーマンスだという。

  • SWALLOWが販売する電動キックボード「ZERO9」

    バッテリーはデッキに収納。床下に敷き詰める仕組みは電気自動車(EV)と同じだ

  • SWALLOWが販売する電動キックボード「ZERO9」

    充電は専用アダプターを使って家庭用コンセントで行う。フル充電にしても電気代はたったの約15円で済むというからランニングコストは抜群だ

特徴は大きく2つある。まず驚いたのは、次世代自動車のコンポーネント技術と考えられているインホイールモーターを採用していること。ZERO9は後輪駆動だが、モーターは後輪ホイールの中に収まっている。クルマよりも先にインホイールモーターを実用化しているとは、なかなかすごい。

  • SWALLOWが販売する電動キックボード「ZERO9」

    EVに先駆けてインホイールモーターを実用化!?

もうひとつの特徴は折りたためること。展開サイズは全長1,100mm×全幅630mm×全高1,130mmだが、折りたたむと全長1,100mm×全幅200mm×全高390mmまでコンパクト化できる。原付は駐車しておく場所に困ることがあるが、ZERO9なら持ち運んで部屋や職場に置いておけるので便利だ。SWALLOWでは公共交通機関のルールに対応したバッグも販売中。これを使えばZERO9を持って電車に乗ることもできるらしい。

  • SWALLOWが販売する電動キックボード「ZERO9」

    展開した状態の「ZERO9」

  • SWALLOWが販売する電動キックボード「ZERO9」

    折りたたむとこうなる

ただ、コンパクトとはいっても車両重量は約20キロなので、持って移動するのはなかなか厳しいのではないかと思えるのだが、オプションで車輪を付ければキャリーバックのように転がして持ち運べる。電動キックボードで遠出するのはなかなかしんどいが、目的地までは電車で移動して現地で乗るとすれば、旅行先での行動範囲がかなり広がりそうだ。

ZERO9の実力は? 試乗で体験!

アソモビ2022 in MakuhariではZERO9に試乗できたので、実際に乗り心地をチェックしてみた。

まずどうやって動かすかだが、バイクのようにハンドルにスロットルは付いておらず、メーター横にあるレバーを引くとモーターが駆動する仕組みとなっていた。

  • SWALLOWが販売する電動キックボード「ZERO9」

    アクセルレバーの近くにブレーキレバーがあるが、乗ってみても意外とレバーを間違えることはなかった

レバーを引いて走り出すと、さすがは電動モビリティ。走り出しからパワフルな加速が味わえる。途中でスラロームを試してみたが、反応は良好でスイスイと曲がってくれた。

これなら、坂や細い路地が多いエリアでは、電動アシスト付き自転車よりも便利に乗れそうだ。そして何より、乗っていて楽しいというところが一番のポイントだろう。

SWALLOWでは傘立てほどのスペースに設置可能な専用スタンド(1.75万円)も販売している。これを使えば玄関などのちょっとしたスペースにZERO9を置いておけるので、防犯面や充電の利便性を考えても合わせて購入するのがオススメだ。