今年創立150年を迎えた「東京国立博物館」(東京都台東区上野公園)。これを記念して10月18日〜12月11日、東京国立博物館創立150年記念特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」が開催されている。10月17日にメディア向けに開催された内覧会で見どころを聞いてきた。
展覧会を担当した学芸研究部列品管理課登録室の佐藤寛介室長によると、今回の特別展のキーワードは「89件の国宝と150年の歴史」。約8週間の会期中に展示する所蔵品は合計150件、そのうち国宝は89件、重要文化財は27件となる。
第1部「東京国立博物館の国宝」、第2部「東京国立博物館の150年」の二部構成で、見どころは3つ。
1. 史上初! 所蔵する「国宝」89件をすべて公開
東京国立博物館には約12万件という膨大な数の所蔵品があるそう。その頂点とも言えるのが国宝で、東京国立博物館が所蔵する国宝は89件ある。一つの博物館が所蔵する国宝の数としては日本一。
この国宝89件すべてを、8分野に分けて会期中に展示替えをしながら公開する。
「東京国立博物館の歴史上初めての画期的なこと。我々も見たことがない。通常は文化財の保存と公開を両立させるために展示期間を制限して数年間のサイクルで分野ごとに数点ずつ公開している。一度にまとめて公開するためには数年先まで展示期間を調整する必要がある。これが一番大変だった。創立150年という大きな節目だからこそ実現することができた」(佐藤室長)
2. 「国宝刀剣」19振りが集結
"鉄の芸術""武士の魂"ともいわれ、世界的にも高く評価されている「日本刀」。東京国立博物館が所蔵する国宝刀剣は19振りあり、一つの博物館が所蔵する数としては日本最多となる。
会場には、この19振りを一つの展示室でまとめて展示する史上初の「国宝刀剣の間」が登場。日本刀の見どころである刃文、地鉄をより美しく見せるために展示ケースや照明にこだわったという。
3. 東京国立博物館の150年の歩みを追体験
第2部「東京国立博物館の150年」では、150年を大きく3つの時代に分けてそれぞの時代に収集された作品や関連資料を通して、東京国立博物館の歩みを紹介する。
第1章 博物館の誕生
東京国立博物館は1872年に開催された博覧会をきっかけに誕生、10年後の1882年に上野公園の現在地に移り、本格的な博物館活動を開始する。この章では当時の展示風景を再現。「会場で当時の人々が感じた驚きや感動、ドキドキやワクワクをみなさんにも追体験していただきたい」(佐藤室長)
第2章 皇室と博物館
1886年博物館は皇室の博物館になり、国家の文化的な象徴の役割を果たすことになった。この章では、皇室と関係の深い作品を展示している。
第3章 新たな博物館へ
終戦後の1947年、東京国立博物館は国民のための開かれた博物館として新たな第一歩を踏み出した。この章では、終戦後から現在までに収集された作品の中から代表的なものを展示している。
最新コレクションも紹介。今年2月に新たに東京国立博物館の所蔵品となった「金剛力士立像」は修理後の初公開となる。
埴輪や土偶がぬいぐるみに! 限定グッズも
ミュージアムショップもひと足先に覗いてきた。お菓子やぬいぐるみ、アクセサリーなど、誰もが知るあの所蔵品が限定グッズに。サンリオキャラクター「シナモロール」やオンラインゲーム「刀剣乱舞ONLINE」、イラストレーター「Noritake」「Mika Pikazo(ミカ ピカゾ)」とのコラボグッズにも注目だ。
日本一の歴史がある博物館、東京国立博物館。国宝89件はもちろん、そのほかの所蔵品も名品揃いで見どころしかない展覧会だった。またとないこの機会、ぜひ足を運んで「博物館の歴史」を巡る旅に出てみてほしい。
開館時間は9時30分~17時(金曜・土曜日は20時まで開館/総合文化展は17時閉館)。事前予約制(日時指定)で、観覧料は一般2,000円、大学生1,200円、高校生900円、中学生以下は無料(事前予約が必要、入館の際に学生証を提示)。障がい者とその介護者1名は無料(事前予約は不要。入館の際に障がい者手帳等を提示。入館は閉館の30分前まで)。チケットの予約・購入は、公式オンラインチケットかコンビニ(ファミリーマート)から。入場の枠が空いていれば、公式オンラインチケットおよびイープラスで当日券も購入できる(東京国立博物館正門チケット売り場では販売しない)。