スポーツブランドのプーマジャパンは、契約アスリート選手であるサニブラウン・ハキームさん(陸上男子)の凱旋報告会を行った。
サニブラウンさんは、今年7月の陸上世界選手権における男子100メートルで日本選手として初の決勝進出を果たし、7位に入賞。報告会では、大会の印象や来シーズンへの抱負などが語られた。
世界選手権は「ほかでは体験できない感覚」
練習拠点となっているアメリカから帰国したサニブラウンさんを、プーマジャパン 代表取締役社長 萩尾孝平さんは「日本人として、プーマファミリーの一員として、素晴らしい偉業を成し遂げられたことを、本当に誇らしく思います」と歓迎。
プーマのロゴをイメージした箱入りの花束を受け取り、「久しぶりに皆さんにお会いできました。このような機会を設けていただきありがとうございます。そして、サポートをありがとうございます」とサニブラウンさんは笑顔を見せた。
トークでは、世界選手権の決勝を「ものすごく緊張したが、その中で冷静でいようとする自分もいた。ほかでは体験できない感覚でした」と振り返った。そして、「日頃からメダルを獲るような選手と一緒に練習しているので、過度な緊張はしなかった。普段からトップレベルの選手に触れているからだと思う」と普段のトレーニングでメンタル面も鍛えられていると語り、ファイナルに関しては「達成感はあったが一瞬。出し切ったが、悔しいのが一番ですね」と無念をにじませた。
なお、その走りを支えたのはプーマのスパイクには「とても履き心地が良く、機能性がしっかりしています。すごく反発性があって、地面に伝わる力が反発で返ってくる。すごく進化していて、選手としてとても助けになりました」と、使用感を語っている。
萩尾さんは、世界選手権でも着用されたスパイクについて「プーマのグローバル開発拠点であるアメリカ・ボストンにラボを作って、選手とともに開発した商品。新しいテクノロジーとしては、2021年に開発したニトロフォームが使われています」と、新技術を込めたものと解説。
ニトロフォームは、従来のプーマのフォームと比較して反発性が80%も高くなっており、50万歩走っても機能を維持。50万歩はフルマラソンを10回走れるほどの歩数だという。また、軽量性も非常に高くなっており、従来に比べ46%の軽量化に成功している。
萩尾さんは「この反発性と軽量化で、サニブラウン選手の足元を支えました」と話し、開発チームは、実際にサニブラウン選手の練習場にも何度も足を運び、研究開発を重ねたものだと開発秘話を明かす。
その上で、「反発を高めていくと、選手に対する負荷も高くなる。こういった高機能スパイクに耐えうるからだを作ったサニブラウン選手の凄さは、絶対に忘れてはいけないこと。反発は体に返ってきますから、ギリギリのトレーニングをされている選手の努力には頭が下がります」と、サニブラウンさんの絶え間ない努力に敬意を払った。
そして、サニブラウンさんが望む理想のスパイクに話がおよぶと「反発などの機能性で、自分のスキルを最大限に活かしていくようなスパイクが理想です。デザインは……目立つのも好きなので(笑)、左右の色が違うとか……100メートルのスタートラインに立った時、カッコいいなと思ってもらえるものがいいですね」と、機能性はもちろん、目立つ派手さもリクエスト。
萩尾さんは、「日本が注目するスター選手なので、ブロックについたときに自信を持っていただけるように。そして体の進化に合わせて、チームがチェックしながらしっかりサポートしていくことをお約束します!」と、力強く応えた。
「競技人生はまだまだこれから」パリ五輪にも意欲
報告会の後半では、サニブラウンさんと同じくプーマの契約アスリート選手で、サッカー日本代表MFの堂安律さん(SCフライブルグ所属)からビデオメッセージが紹介された。
堂安さんは「(世界陸上での)走りに、本当にたくさんの刺激をもらいました。サッカーは集団競技ですが、陸上は個人競技。コンマ何秒の世界でかける、瞬発力や集中力は想像もできない」と、サニブラウンさんへのリスペクトを語り、「これからのスポーツは、僕たちの年代が活躍して盛り上げるべきだと思っています。日本を、世界を驚かせるようにお互いに頑張りましょう」と、エールを送った。
このサプライズメッセージに対し、「すごくビックリした。いつもテレビで活躍を見ていますし、プーマファミリーとして刺激を受けています。練習が重なってしまうこともありますが、時間があるときは観戦していますね。(サッカー元日本代表の)香川真司さんにもお世話になっているので」と、普段からサッカーには注目していると明かす。
最後に、今後の抱負を聞かれたサニブラウンさんは「自分の競技人生はまだまだこれからで、ここからが本当のスタート。来年の世界選手権や、2024年のパリ五輪、その先の東京世界選手権に向けて、日々練習していきたいですね。そして、金メダル、世界記録へと頑張りたいです」と意欲をみせた。