幕張メッセにて、10月18日から10月21日まで開催されるIoT展示会「CEATEC 2022」の京セラブースでは、非接触操作が可能な「高精細 空中ディスプレイ」を始めとした多くの製品や技術が展示。プレス向けの先行公開から、一足早く展示内容を紹介します。
多くの技術展示が並ぶ中、とりわけ筆者の目を引いたのは、10月13日に発表された「人間拡張」技術システム。「人間拡張」技術システムは、人間の能力をテクノロジーで拡張させることを目指した技術です。今後、ヘルスケアや医療、エンターテインメント、生産現場など幅広い分野での展開が期待されています。
身に着けたセンサーで「美しく正しい歩き方」へ導く
「人間拡張」技術システムのひとつ、歩き方をコーチングする「歩行センシング&コーチングシステム」は、「身体の拡張」をテーマに開発。身体に装着する小型ウェアラブルセンサーと歩行解析AIにより、美しく正しい歩き方に導くシステムで、身体と心の健康をサポートするとしています。
小型ウェアラブルセンサーは3個で1セットになっており、頭部(イヤホン型)・手首(ブレスレット型)・足首(アンクレット型)に、それぞれ装着。これらを身に付けて歩くことで姿勢をリアルタイムで計測し、AIが歩き方の印象を評価したり、装着者の歩行姿勢を推定したりできます。
京セラは同システム開発のため、女性用下着などを販売する衣料品メーカーのワコールと、歩行姿勢が与える印象に関する共同研究をしています。
AIによる印象評価の結果はスマホアプリから確認でき、解析AIが推定した装着者の歩行姿勢について、3Dアバターが歩くようすをアニメーションで再現する予定です。印象評価は大きく4象限。「ゆったりしとやか」「しなやかすいすい」「よろよろふらふら」「しゃきしゃききびきび」に分かれており、腕の振り方、歩くスピード、歩幅、視線の高さ、左右の揺れなどをセンサーが検知して、振り分けます。
「歩き方で印象が全然変わる」と実感したデモ
ブースで行われたデモンストレーションでは、装着者の歩行姿勢や歩幅の変化をセンサーが感知し、AIによる印象評価がリアルタイムで変化していく様子を見られました。センサーの感知はかなり正確で、歩き方が変わると、素早く反応します。歩行後、アプリからは印象分類結果の履歴レポートが見られます。
これまで筆者は「歩き方から受ける印象」について深く考えたことがありませんでしたが、デモンストレーションの歩き方や、歩くようすのアニメーションを見てみると、「歩き方を一つ変えるだけで、ここまで印象が変わるのか」と驚きました。また、「よろよろふらふら」「しゃきしゃききびきび」など、歩行から受ける印象の表し方も、的確かつユニーク。
なお、目標とする歩行姿勢を設定した場合、装着したイヤホンからコーチングの音声が流れ、理想とする歩き方に近づくよう手助けを行うとのことです。
「人間拡張」技術システムは、歩行センシング&コーチングシステムのほか、「知覚・認知の拡張」をテーマに聞き逃した音を気付かせる「聴覚拡張ヒアラブルデバイス」や、リモートワーク時でもオフィスの状況をよりリアルに把握できるコミュニケーションデバイス「フィジカルアバター」も出展しています。
製品化などは未定とのことですが、自分の歩き方を客観的に確認でき、理想の歩き方に近づけていける、非常に興味深いシステムとデバイスでした。