女優の趣里が17日、大阪府で実施された2023年度後期のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロイン発表会見に出席した。同作でヒロインを務めることが発表され、報道陣を前に「まさか自分が朝ドラのヒロインをやれる日が来る、そういう人生だとは思ってもいなかった。本当に『えっ……!?』と、言葉が出ないとはこういうことかと身をもって経験しました」と胸の内を語った。
連続テレビ小説・第109作となる『ブギウギ』で趣里が演じるヒロイン・花田鈴子は、「東京ブギウギ」や「買物ブギー」など数々の名曲や多数の映画に出演した戦後の大スター・笠置シヅ子(かさぎ・しづこ)さんがモデル。激動の時代の渦中で、ひたむきに歌や踊りに向き合い続けた歌手の波乱万丈の物語として大胆に再構成。香川生まれの大阪育ちの鈴子が、下町の小さな銭湯の看板娘から“ブギの女王”と呼ばれる戦後の大スター歌手になる姿を活写する。脚本は、映画『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した足立紳氏。
純白の衣装で登場した趣里は、マイクを手にして開口一番、「とても緊張しています……!」と率直な心境を吐露。「まさか自分がこんな日を迎えられるとは思ってもいなかった。驚きと、喜びとともに身の引き締まる気持ちでいます」と述べた。
2471人の応募者のなかからヒロインに選ばれた趣里。決定の一報を初めて聞いたときを振り返って「一瞬時が止まった。『えっ!? ちょっ、まっ……!』という感じだった(笑)。『もしかしたらドッキリじゃないかな?』とか『もしかしたら夢かもしれない』とそういうことを思って日々過ごしてきました」と述懐。「こうして皆様に集まっていただいて、スタッフの皆さんともお会いできて、私は今、大阪にいるんだな、これからたくさん来るようになるんだなとちょっとずつ実感がわいております」と話した。
趣里は、4歳からクラシックバレエを習い、高校生時に渡英してバレリーナの道を志すも、足首の剥離骨折とアキレス腱の断絶の怪我であえなく断念。帰国して次の道を模索しているときに、演劇の舞台を鑑賞して感動し、「そのときにこんな世界もあるんだと感動した。景色が輝いて見えた。自分の表現で楽しんでもらうという夢を諦めなくてもいいのかなと感じた瞬間でした」。以来、女優の道を踏み出したという。
「私は、これまでエンターテインメントの持つ力に何度も救われてきた経験があります。たくさんの方々を笑顔にして、前向きな気持ちにしてくれて、生活に彩りを添える朝ドラにずっと強い憧れを持っていました」
朝ドラヒロインのオーディションは過去に3度受け、4度目の挑戦でヒロインに選ばれた趣里。今回の応募年齢の上限は「ちょうど私の年齢(32歳)までだった。自分にはまだチャンスがあるんだと思って、これが最後のチャンスだと思って挑戦させていただきました」と明かした。
そして、「歌、踊り、芝居、と大変になると思う。しっかり皆様にお見せできるように稽古を重ねて、これまでのすべてを賭けて、全力で向き合いたい。これまで支えてくれた方々に感謝の気持ちを忘れずに恩返しできるように、そして、心がブギウギ、ズキズキ、ワクワクしていただけるような朝ドラを届けられるように全身全霊で頑張っていきたいと思います」と決意を示した。
今回の会見に同席した制作統括の福岡利武氏は、「趣里さんのお芝居は自然体で生活感がすごくあって素敵。かたや歌と踊りのオーディションでは艶(あで)やかですばらしかった。僕らの描いていたヒロインに、スッとはまったと言いますか、ピタッと来た印象があります」と起用理由を語った。
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