JR北海道は16日、札幌駅11番線ホームの使用を開始した。北海道新幹線の札幌延伸を前に、関連工事のため1番線ホームを閉鎖し、代わって新ホームを設置。11番線ホームは今後、札沼線(学園都市線)の列車を中心に使用され、通勤通学の要として機能する。
札幌駅周辺では現在、2030年度に予定される北海道新幹線の札幌延伸に向けた工事が進行している。駅南側に新幹線高架橋を構築する空間を創出するため、これまで使用してきた1番線を廃止し、新たに11番線を設けることとなった。新ホームを使用する初列車の発車に合わせ、報道公開が実施された。
報道関係者らはまず、札幌駅11番線ホームへのコンコースを見学。真新しい電光掲示板と案内表示が目を引く。自動販売機が2台設置されており、コンコース内の売店で飲み物を買い忘れた際は重宝するだろう。広告類は今後増やしていくのか、他のホームと比べて少なめではあったが、鉄道開業150年をアピールするポスターが掲示されていた。
エスカレーターでホームに上がる。新設の11番線ホームは長さ140m。6両編成まで停車でき、おもに札沼線(学園都市線)の列車が使用するという。コンコースへ向かうエレベーターとエスカレーターは3号車付近、階段は2号車と5号車付近にそれぞれ設置されている。頭上の乗車位置案内を見ると、特急「ライラック」「カムイ」「すずらん」の乗車口も案内されていたが、通常ダイヤにおいて特急列車が11番線ホームに入線することはないとのことだった。
点字ブロックより先のホームは赤く塗装されており、乗車の際やホーム間を移動する際の視認性を高めている。線路はまだ真新しく、駅の照明に照らされて少し光っていた。
5時40分頃から、鉄道ファンと見られる人々が次々と11番線ホームへ。その後、一般の利用者も増えてきて、真新しいホームに少しずつ活気が出てくる。日曜日の朝ということもあってか、学生など若い世代が多いように感じられた。
5時58分頃、札幌駅11番線を発車する初めての営業列車が桑園方面から入線した。同駅6時19分発の札沼線(学園都市線)下り普通列車、北海道医療大学行である。充当車両は731系(G-111編成)と733系(B-105編成)の6両編成。通勤・通学利用者や鉄道ファンらを乗せた列車は6時19分、定刻通り発車。汽笛を短く吹鳴し、いつものように軽快に走り去った。
最後に、10月15日をもって役目を終えた旧1番線ホームに向かった。同ホームはこれまで函館本線の上り列車を中心に使用されてきたが、新幹線の工事空間を確保するために廃止することとなった。
旧1番線ホームは全体を緑色の柵で覆われ、立ち入ることができなくなっていた。非常停止ボタンも使用を中止しており、前日まで何本もの列車が発着していたとは思えない変貌ぶりだった。一方、隣の2番線ホームは通常通り稼働していたが、旧1番線ホームの使用停止にともない混雑が予想されるとのこと。10月16日以降、札幌駅に停車する多くの列車で番線変更が行われるが、時刻については一部列車を除いて変更はないという。
報道公開でJR北海道札幌新幹線工事事務所次長(軌道・土木)の金澤文雄氏は、「11番線ホーム使用開始を受け、北海道新幹線の工事を本格化させます。今後は駅南側の構造物撤去および改築工事を行う予定。安全を最優先に進めていくので、引き続き工事へのご理解とご協力をお願いいたします」とコメントした。
札幌駅周辺は今後、2030年度末に予定される北海道新幹線の札幌延伸、札幌冬季オリンピック・パラリンピック招致に向けた再開発事業が加速していく。2022年9月末をもって駅直結ショッピングビル「パセオ」が休業し、2023年夏には、40年以上にわたって営業していた商業施設「エスタ札幌」が閉店する予定。より魅力的な施設を整備するとともに、駅構内では新幹線乗換通路の新設、新幹線向け駅舎の建設など、駅および周辺の景観が大きく変貌する。北海道随一のターミナル駅が進化することによる地域経済やコミュニティへの影響の推移を多角的な視点で見守っていきたい。