ほかの人と同じものを食べていたはずなのに、なんで自分だけ太ってしまうのか―――。よく聞く悩みごとだ。これまで"体質だから"で済まされてきた、そんな人の太りやすさについて"ひょっとしたら食用油を変えることで改善できるかもしれない"という興味深い調査結果が報告された。都内で開催されたMCTプラス・コンソーシアム主催の「第4回プレスセミナー」の模様をお伝えしよう。

  • 太りやすい人と、太りにくい人の差はどこにある?

■ケトン体とは?

ケトン体とは、脂質からつくられる人間のエネルギー源。一般的に、疲労回復、代謝促進、睡眠の質の向上、活力増進、抗老化、持久力の向上などの効果が期待できると言われている。そんなケトン体に注目したのは、虎ノ門中村クリニック院長の中村康宏氏。同氏は「脂肪燃焼回路のスイッチの要となるのがケトン体です」とし、まずはその概要について説明。そのうえでケトン体とMCT(中鎖脂肪酸)の関係について言及していった。

  • 登壇した虎ノ門中村クリニック院長で医師の中村康宏氏

そもそも食用油には、長鎖脂肪酸(LCT)と中鎖脂肪酸(MCT)がある。中村氏は「どちらが良い悪いということではありません。それぞれ生理活性作用が異なります」と解説する。

長鎖脂肪酸(LCT)に代表される食用油は、オリーブ油、なたね油、大豆油、コーン油、アマニ油、えごま油など。これに対し中鎖脂肪酸(MCT)には、ココナッツオイル、パーム油などがある。中でも、中鎖脂肪酸100%の油をMCTオイルと言う。

  • 長鎖脂肪酸(LCT)と中鎖脂肪酸(MCT)

中村氏は、MCTオイルについて、

1. ケトン体を産出しやすい
2. 素早くエネルギーになり身体に蓄積されにくい
3. 体脂肪を燃やしやすくする

という3つのポイントにより「最強の油」だとする。

  • MCTオイルは「最強の油」

では、人は実生活において、どの程度のMCTオイルを摂取すべきか? これについては、実際に調査で得られたデータをもとに説明した。同調査は30歳から49歳までの女性12名を対象に2022年7月下旬から8月中旬まで実施したもの。MCTオイル小さじ1杯(4.6g)をほかの油との置き換えで普段の食事の中で摂取してもらい、食事に影響されにくい朝食前の空腹状態で0週目と2週目を比較した。

この結果、被験者の血中のケトン体の濃度は1.7倍に上昇。またウエストサイズが平均で-1.8cmも減ったと言う。

  • たった2週間で、被験者の血中のケトン体の濃度は1.7倍に

  • ダイエット効果も見られた

中村氏は「たった2週間でもMCTオイルを摂っていただくことで、脂肪が燃焼されやすい状態になった。ほかの研究では、体脂肪が減ったことを示唆する結果も出ています」と報告。今回は2週間の調査だったが、もっと長期間の検証であれば体重の減少効果は見込めるだろう、と力を込める。

  • つまり、太りやすい体質と太りにくい体質の差=ケトン体の差?

  • 太りにくい人は太りやすい人よりもケトン体が多く、また増加しやすい傾向にあった

この結果をもとに『昔と食べる量は変わらないのに』『みんなと同じ量を食べているのに』太ってしまう、という人には「MCTオイルを継続摂取しましょう。無理なく脂肪を燃焼できる体質、つまり痩せながら太りにくい体質になれる可能性があります」と説明する。

  • MCTオイルの継続摂取で、痩せながら太りにくい体質に

もちろん、一度にたくさん摂ればそれだけ体質の改善が進むということでもない。1日あたりのMCTオイルの摂取量については、Protein(タンパク質)、Fat(脂質)、Carbohydrate(炭水化物)のバランス、そしてカロリーとの兼ね合いにも気をつける必要がある。目安として、やはり小さじ1杯くらいを毎日続けていくのが良いとのこと。

ちなみにMCTオイル自体は無味無臭。そこで中村氏は、ドレッシングなどに混ぜる、みそ汁に入れる、といったレシピを最後に紹介。「手軽ですし、料理の風味を損なうこともありません。多くの人の日常にとり入れてもらえたら」とまとめた。

  • セミナーでは、MCTオイルあり・なしのみそ汁、ゆで鶏ときゅうりの梅和えが提供された。MTCオイルありはコクが出て味がしっかりしたほか、鶏がパサつかず、喉を通りやすかった

■グローバルでもトレンドに!

なお同プレスセミナーにゲスト登壇したグローバルニュートリショングループ 代表取締役社長の武田猛氏は「海外でも『良い脂質』にこだわることがメガトレンドになりつつあります。特にケトン体を活用した身体づくりが主流になり始めており、ケトン体を産出できるMCTオイルの注目度が上昇。また、日本でも健康志向や巣ごもり需要によってMCTオイル市場が広がりを見せています」と報告する。

  • グローバルニュートリショングループ 代表取締役社長の武田猛氏

  • MCTオイルがトレンドに

また、続いてゲスト登壇した管理栄養士で料理研究家の金丸絵里加氏は「脂肪=太る、という古い考えではなく、これからはどんな油を摂っていくか、よく考えることが大事。普段の食事の中で良質なオイルをとり入れる『オンオイル習慣』で食生活を変えていきましょう」と呼びかけた。

  • 管理栄養士で料理研究家の金丸絵里加氏

  • オンオイルを薦めていた