日々何気なく目にするものでも、「知っているかどうか」で見え方が大きく変わってくることがあります。

『街のスキマ植物図鑑』(大和書房)の著者であり樹木医の瀬尾一樹(@kusanonamaesay)さんがシェアした“割りばしの意外な楽しみ方”に、1.7万の「いいね」が集まっています。

植物を好きになると、竹の割りばしを見たときに「アッ、単子葉類だから維管束の並びが不整中心柱だね!フフフ」となって一生楽しいのでおトクです。(@kusanonamaesayより引用)

  • (@kusanonamaesayより引用)

瀬尾さんが投稿した竹の割りばしの写真。上部を見ると、ひし形に似た模様が不規則に並んでいますよね。これが、単子葉類に分類される維管束の特徴なんだそう。

リプライや引用リツイートでは、「維管束とかいう言葉、1億年ぶりに聞いたので ありがとうございます」「なんだろう、この『知る人ぞ知る』愉しみ方って無茶苦茶憧れる」「『』の中身が一つも分からないが、楽しそうなのは分かりました」といったコメントが。

「竹細工屋の娘になると、この割り箸を見たときに『アッ、煤(スス)竹の箸だ、この店えーもん使ってるな! (ΦωΦ)フフフ…』となって一生楽しいのでオトクです」と、維管束ではなく「竹の種類」に注目する人もいました。

割りばし一膳でも、人によってさまざまな楽しみがあるようですね。ただ、瀬尾さんの投稿を見ても「なんのことかピンとこない」という人も多いのではないでしょうか。ツイ主の瀬尾さんに、竹の割りばしの楽しみ方を解説してもらいました。

「竹の割りばし」、投稿者に聞いてみた

――納得される方がいる一方、「まったくわからないけど楽しそう」という声も寄せられております。解説をお願いできますでしょうか。

種をつくる植物のうち、タケやイネなどの単子葉類と、針葉樹や双子葉類では維管束(導管や篩管が束になったもの)の並び方が違っています。単子葉類では維管束が茎の中に不規則に散在する「不整中心柱」に、針葉樹や双子葉類では維管束が輪のように並ぶ「真正中心柱」になるのが一般的です。

  • ※画像はイメージです

僕が普段使う割りばしはだいたい木(針葉樹や双子葉類)のものなのですが、今回珍しく竹製の割りばしをもらえて、断面にわかりやすい不整中心柱がみられたので嬉しくなり、ツイートしました。

――今回の投稿には多くの反響が寄せられていますね。

ツイートのインプレッション数(見られた数)は41万件を超えています。世の中の人々に41万回も不整中心柱が見られたと思うと非常に興奮します。

あと、お弁当についていた無料の割りばしでバズったので「なおさらおトクだな」と思っています。

――瀬尾さんは、書籍『街のスキマ植物図鑑』も手掛けられています。こちらはどのような図鑑なのでしょうか?

コンクリートの隙間で見られるような、身近な植物たちに焦点を当てた図鑑です。「東京の新宿で植物観察ができる本」を目標につくっていて、街中にみられる植物たちとその観察ポイントを紹介しています。


植物にあまり目を向けたことがない人にとって、割りばしにも植物の特徴が表れるというのは驚きだったのではないでしょうか。身近な植物についてちょっとだけ詳しくなれば、知らなかった世界が見えてきそうですね。