米航空宇宙局(NASA)は米国時間10月12日、無人探査機「DART」による「小惑星への衝突ミッション」で、期待以上の成果を収めたことを発表した。これは、人類が初めて天体の動きを意図的に変化させ、惑星の軌道を修正させる能力を実証するものとなる。
NASAは先月26日に、無人探査機「DART」を小惑星「ディディモス」に衝突させる実験を行い成功していた。惑星防衛戦略の一環で、地球の脅威となり得る隕石の軌道を変更できるかどうかを、確認するための実験だった。ちなみに探査機の名前のDARTは「Double Asteroid Redirection Test」(二重小惑星進路変更実験)を略したものだ。
実験の調査チームは、カリフォルニア州にあるNASAジェット推進研究所のゴールドストーン惑星レーダーなど世界中の地上観測所で、衝突ミッション成功から2週間にわたって取得したデータの解析を行なった。結果として、探査機が小惑星の軌道を変更させることに成功したことが明らかとなった。
具体的には、小惑星「ディモルフォス」は、地球から700万マイル(約1,100万キロメートル)離れた小惑星で、同じく小惑星「ディディモス」の周りを11時間55分かけて周回している。今回の発表では、ディモルフォスの軌道周期が約4%、つまり32分変化し、11時間32分に短縮されたそうなのだ。なお、DARTの衝突した小惑星「ディモルフォス」と、「ディモルフォス」が周回している「ディディモス」のどちらも地球に危険を及ぼすことはないとのことだ。
当初、NASAはディモルフォスの軌道周期を73秒以上変化させることを、成功の最低条件としていた。また、研究者たちは、軌道周期の約1%(公転周期で10分相当)程度短くさせると推定していたので、今回の「衝突ミッション」における結果は、期待以上の成果を収めたことになる。
NASAは、今回の結果に対して、将来の衝突結果についてのシミュレーションや計算を行う際の役に立つだろうと語っている。また、NASAのビル・ネルソン長官は、今回の結果に「私たちが地球の防衛者になり得ることを証明した。これは惑星防衛と全人類にとっての分岐点となる瞬間で、NASAの優れたチームと世界中のパートナーのコミットメントを示すものだ。」とコメントしている。
今後は、DARTが時速14,000マイル(22,530キロメートル)で目標に衝突した際の運動量の伝達効率の測定に重点を移すという。また、衝突の際に飛び散った小惑星の破片の分析を進めていくそうだ。
ネット上では「これはすごい!今後小惑星を早く見つければ人類は助かる可能性大幅UP!」「すげぇ時代になったぜ・・・地球防衛だよ」「…軌道修正…映画のような…??(^^;」などの声が寄せられた。あとは、かなり想定以上の軌道変更だったので、某アクシズみたに「今計算してみたが、貴様らの頑張り過ぎだ!」とならないことを祈るのみだろう。