ビズヒッツ運営するビジネス上の問題解決を考えるメディア「Biz Hits」はこのほど、20代以上の働く男女498人を対象に「職場で感じる世代間ギャップに関する意識調査」を実施し、その結果をランキング形式でまとめた。
職場で年上の上司や先輩の言動を見聞きして、「世代間ギャップ」に驚いた経験がある人も多いかもしれない。
「会話中に出てくるお笑いのネタが古い」といった程度であれば、雑談中の笑い話程度で済む。しかし「価値観」「仕事の進め方」などに大きな世代間ギャップがあると職場の雰囲気が悪くなったり、働きづらさにつながったりする可能性もある。
同調査は2022年9月18日〜23日、20代以上の働く男女を対象に、インターネットによる任意回答として実施。有効回答数は498人(女性296人/男性202人)。回答者の年代は、20代 27.9%/30代 45.4%/40代 18.9%/50代以上 7.8%だった。
20代以上の働く男女498人に「職場で何歳以上に世代間ギャップを感じるか」聞いたところ、「10〜14歳以上」と答えた人がもっとも多い結果に。
10歳という区切りで、ギャップを感じる人がグッと増えている。年齢が10歳違えば、「受けてきた教育」も「育ってきたときの社会情勢」も大きく違うからだと思われる。
また「バブル世代は金銭感覚が違う」「就職氷河期世代は仕事への取り組み方が違う」など、特定の世代に対してギャップを感じている人もいた。
「職場で年上に世代間ギャップを感じること」を聞いたところ、1位は「日常会話の話題が合わない(202人)」だった。2位「仕事への姿勢が違う(107人)」、3位「IT・PCが苦手(53人)」、4位「時代錯誤な言動(48人)」と続く。
以降、5位「言葉遣いが違う(36人)」、5位「仕事の進め方(25人)」、7位「コミュニケーションの取り方(20人)」の結果となった。仕事以外の「日常会話」「雑談」などで世代間ギャップを感じている人が多いとわかる。
日常会話でギャップを感じる程度であれば「へぇ」「そんなことがあったんだ」程度で、おもしろく聞けることや、ストレスなく聞き流せることも多そうだ。
しかし「IT・PCが苦手」「時代錯誤な言動」などを挙げた人は、世代間ギャップにより困ったり不満を抱えたりしていると推測できる。
<1位 日常会話の話題が合わない>
・休憩中に雑談していても「なにそれ?」となることが多い(23歳 女性)
・好きな歌手とか高校時代の話をしたとき、話がかみ合わなかった(38歳 女性)
「昔流行ったもの」などの話題になったとき、内容がわからず年上世代の盛り上がりについていけない人が多いようだ。若手が好きな音楽や今の流行についての話題だと、年上がついていけないこともあるだろう。
<2位 仕事への姿勢が違う>
・出世に興味があること(28歳 男性)
・仕事に対する意識にギャップを感じます。上の世代の人達はプライベートよりも仕事を大事にしているので(32歳 女性)
・仕事の価値観。「仕事優先」「休むには相応の理由が必要」といった考えを押し付けられるときにギャップを感じます(39歳 男性)
年上世代の「仕事第一」「有給をあまり消化しない」といった働き方・価値観に違和感を覚えている若手も多い。
「すごいなぁ」「自分にはできないなぁ」と思いながら見ている人が多数。「仕事第一・プライベート軽視の価値観を押し付けられると困る」と拒否感をもっている人もいた。
<3位 IT・PCが苦手>
・最新のアプリやソフトの習得に手間取っている(29歳 男性)
・スマホの使い方について聞かれたとき(33歳 女性)
・キーボードを人差し指だけで打つ(40歳 女性)
子ども時代や学生時代からスマホやパソコンに親しんできた世代は、年上世代のITスキルにもどかしさを感じることも多いようだ。「若手より覚えるのは遅いが努力している」ならまだいいが、「新しいシステムに文句ばかり」「覚えるのを放棄して手書き優先」だと周りは困ってしまう。
<4位 時代錯誤な言動>
・「考え方が昭和だな」と感じることがよくあります(23歳 女性)
・現代の価値観がわからないこと(37歳 女性)
・「コンプライアンス遵守」「ハラスメント防止」といった時流を全然理解していない(44歳 男性)
「時代が変わっていることに気づいていない」などの厳しい意見が多数寄せられた。時代錯誤な言動を取る人に対し「今はそういう時代ではない」と指摘しても、即座に価値観を変えることは難しく、反発を招いてしまうことも多いことだろう。
社内で影響力をもつ年上世代が古い価値観を押し付けるタイプだと、ストレスを感じる人も多そうだ。
<5位 言葉遣いが違う>
・最近の言葉が通じない(28歳 女性)
・言葉遣いが古臭い(38歳 男性)
・短縮語などの言葉の使い方(43歳 女性)
「言葉遣いの古さ」「言葉が伝わらない」などの回答が寄せられている。
年上世代に通じなかった言葉としては「SNS」「EC」などが挙げられている。「メッセージの文面に世代間ギャップを感じる」という人もいた。
<6位 仕事の進め方>
・後輩への指導法が現代的ではなくアナログ(29歳 女性)
・電子化・ペーパーレス化が進んでいるのに、資料を紙で印刷して提出するよう言われたとき(32歳 男性)
・いまだに紙やハンコを重視しているところ(41歳 女性)
「紙文化」「指導方法が古い」などの回答が目立っている。IT・PCが苦手な年上世代の多い職場では、仕事のデジタル化がなかなか進まないのだと推測できる。
若手だけではなく40代・50代のベテランから「仕事の進め方が古くて非効率」という回答が多く寄せられたのも印象的だ。
<7位 コミュニケーションの取り方>
・重要な情報を伝えるとき、若手はメールを使う人が多い。一方20歳以上年上の人は電話を使いたがるように感じる(30歳 女性)
・コミュニケーションが若い人に比べて多い(31歳 男性)
・バブル世代とは大きな価値観の壁を感じます。例えば仕事以外の場所で信頼関係を築こうとするところ(45歳 女性)
年上世代に対し「対面や職場外でのコミュニケーションを重視する」「コミュニケーションが密」と感じる人も多い。コミュニケーションをとるのはいいことではあるものの、アプローチが間違っていると「強引」などと拒否感をもたれてしまうこともあるため、注意が必要だ。
「職場で上の世代に敵わないと思うこと」と聞いたところ、1位は「経験値・知識量の多さ(89人)」だった。2位「コミュニケーション能力が高い(70人)」、3位「柔軟な対応力(64人)」、4位「仕事に対する熱意(63人)」と続く。
以降、5位「メンタルが強い(59人)」、6位「体力がある(22人)」、7位「仕事が早い(18人)」の結果となった。
勤務年数の長さによって得られる「経験・知識」については、どうやっても若手はベテランに敵わない。また経験や知識が豊富だからこそ、「柔軟な対応力」「仕事の早さ」にもつながるのだと考えられる。
<1位 経験値・知識量の多さ>
・生きてきた年齢が違うため、自分よりも多く経験を積んでいる(22歳 女性)
・自分が考えつかない発想をされたときに「やはり経験の違いだな、すごいな」と思います(30歳 女性)
・知識の多さにびっくりします(31歳 男性)
年上の上司や同僚は長く生きている分、仕事や人生の経験が豊富だ。経験や知識をもとに的確なアドバイスをしてくれる場合などに、「すごいな」と感じる人が多いようだ。
<2位 コミュニケーション能力が高い>
・コミュニケーション能力の高さ。知らない環境でも自分をオープンにできる力(25歳 女性)
・職場の上の世代に対して敵わないと思うことは、いろいろな世代の方に対してコミュニケーションがとれること(32歳 男性)
・人付き合いがうまく、どんな人にも合わせられるところ(39歳 女性)
「初対面の人や異なる世代の人に対しても、グイグイ話しかけられるコミュニケーション能力」に感心している年下世代が多数。またクレームを言ってきたお客さんに対し、角が立たないように会社・店舗側の事情を説明する際にも、コミュニケーション能力が役立つ。
中間管理職の「年下とも上司とも上手にコミュニケーションできる能力」に助けられているという体験談もあった。コミュニケーション能力と勤続経験により築かれた「人脈」には敵わないと思っている人も目立っている。
<3位 柔軟な対応力>
・問題ある患者さんへの対応が優しいとき(27歳 女性)
・トラブルやクレームに対し、毅然とした態度で対応していること。自分にはできないと感じます(33歳 女性)
・トラブルが起こった時、落ち着いて対応して解決するところ(48歳 男性)
経験や知識があるからこそ、トラブルが起こったときにも柔軟かつ冷静に対応できるのだろう。
また若手が困っているときに、効果的な対処法を提示してくれると「頼りになるな」と尊敬する。クレームが発生したときも「よくあること」「前にもあったこと」とどっしり構えている人がいると、周りも少し落ち着いた気分になれそうだ。
<4位 仕事に対する熱意>
・会社から読むよう推奨された本などを、すべて買って読んでいたこと(28歳 女性)
・仕事に対する情熱と上昇志向はすごいなと思います(33歳 男性)
「スキルアップやキャリアアップに熱心」「あまり休まない」など、仕事に対する熱意を挙げた人も多くいた。
「ギャップを感じるときランキング」でも2位に「仕事への姿勢が違う」が入っていた。「ギャップ=マイナスイメージ」ではなく、「自分にはない部分ですごい」と捉えている人も多いとわかる。
<5位 メンタルが強い>
・上司から理不尽なことを言われても、黙って聞いてやり過ごしている姿。言い返すこともなく我慢できるのがすごい(29歳 女性)
・突発的なトラブルが発生しても動じず、むしろトラブルを楽しんでいる節がある。メンタルの強さはまったく敵いません(39歳 男性)
トラブル時や上司から叱責されているときの年上世代の反応を見て、「メンタルが強くてすごい」と感じている人も多数。ただ実際には「職場で弱みを見せてはいけない」などと考え、ストレスを表に出していないだけかもしれない。
<6位 体力がある>
・残業した日の帰りに遊び、次の日には一番早く会社に来ていること(26歳 男性)
・体力面。年齢を重ねて体力も落ちているはずなのに、精力的に仕事されていて驚くことが多々あります(31歳 女性)
・長時間仕事しているのに、休日ランニングやゴルフなどで身体を動かしていること。自分たちの世代に比べて、パワフルな人が多いように感じる(34歳 女性)
「長時間労働を苦にしていない」「休日の過ごし方がアクティブ」など、年齢のわりに体力がある点に驚いている人が多くいた。
エグゼクティブ層では、仕事のために意識して身体を鍛えている人も多い。「体力があるからこそ集中して仕事をこなせる」という面があるからだと推察される。
<7位 仕事が早い>
・長く勤めているため、仕事完了までのスピードが早い(20歳 男性)
・経験値が違うのか、何事も一足早くてすごいなと思います(27歳 女性)
知識や経験を活かし、効率よく仕事する姿を「すごい」と感じる人も多い。
ベテランは「要点」「要所」がわかっているため、適度に力を抜くことも得意だ。営業成績など数字で明確に差が見えて「敵わないな」と痛感した人もいた。
今回、20代以上の働く男女にアンケートを実施したところ、職場で世代間ギャップを感じやすいのは「年齢差が10歳以上ある相手」に対してだった。
昔話についていけない程度なら、ギャップがあっても反応に困るくらいで大したストレスにはならないだろう。しかし、ワークライフバランスやジェンダーについての「価値観の違い」を感じている人からは、「年上世代の理解のなさ」に強い不満をもっている様子がうかがえた。
一方、年上世代に対し「敵わない」「すごい」を感じることは、積み重ねられた経験や知識。経験・知識を仕事や後輩への指導で上手に活かせていると、年下スタッフから尊敬されやすいのかもしれない。