米Appleは10月13日(現地時間)、米国で提供しているクレジット決済サービス「Apple Card」向けに、同サービスで提携するGoldman Sachsが高利回り普通預金口座を提供することを発表した。口座手数料、最低入金額や最低残高といった要件はなく、Apple Cardユーザーが簡単な手続きで開設できる。Apple Cardの還元プログラム「Daily Cash」のキャッシュバックが自動的に口座に預金され、Daily Cash分を使った支払いや送金をWalletから直接行えるようになる。
Appleは2019年夏にGoldman SachsとApple Cardの提供を米国で開始した。iPhoneの「Wallet」アプリから簡単に申し込め、即日審査ですぐに利用を開始できる。セキュリティチップを備えたチタン製カードも提供されるが、Walletアプリを使ってApple PayやApple Cashと連動させながらiPhoneで利用するのを想定したサービスだ。Daily CashはApple Cardの利用額に対するキャッシュバック・プログラムで、Apple StoreやApp Storeのほか、Uber/Uber Eats、Nike、Ace Hardwareなど一部加盟店で3%、その他のApple Payを使った買い物で2%、それら以外の買い物で1%が毎日現金で還元される。
Apple Cardと同様に、ユーザーはWalletアプリを使って口座開設の申し込みを行い、Wallet上のApple Cardの「Savings Account(普通預金口座)」ダッシュボードで口座を管理する。現在Daily CashはApple Cashカードに振り込まれるようになっているが、普通預金口座がある場合は預金口座への入金に切り替わる(Apple Cashに戻すなど振込先の変更はいつでも可能)。また、追加の入金が必要な場合はApple Cardでリンクしている銀行口座やApple Cashカードの残高から入金可能。逆に普通預金口座からリンクしている銀行口座やApple Cashにも手数料無料で送金できる。
利息については"高利回り"としているのみ。13日時点でGoldman SachsのMarcus Online SavingsのAPY(年換算利回り)は2.15%だ。PayPalが昨年秋にPayPal Savings Accountを開始(13日時点のAPYは2.45%)、手数料無料の株式取引で急成長したRobinhoodも同様のサービスの提供を目指したテストを重ねているなど、米国において大手銀行に対抗する手段として高利回り預金口座の提供に乗り出すフィンテック企業が増えている。