大切な愛車も走っていれば当然汚れていきます。クルマならガソリンスタンドの自動洗車機でサッと洗えますが、バイクの場合はそうもいきませんね。バイク専門の洗車サービスもありますが、自宅やコイン洗車場で行っている人も多いのではないでしょうか。
そんなバイク洗車に関するコツやNG行為などを前編、中編、後編の全3回に渡って紹介します。後編の今回は、仕上げのグリスアップと、洗車がもたらす意外なメリットなどです。
■ドライブチェーンの清掃と給油
現代のバイクは耐久性の高い「シールチェーン」を採用していますが、完全なメンテナンスフリーではありません。路面から巻きあがった泥やホコリなどがチェーンやスプロケットを摩耗させ、シールが損傷・劣化すれば、内部のグリス抜けや水分の侵入などでチェーンの伸びや固着といったトラブルにつながってしまいます。
チェーンメーカーからは、付着した汚れを除去する「クリーナー」と、シールや表面を保護する「チェーンルブ(オイル)」が発売されています。「チェーンルブ」は塗りすぎれば飛散してタイヤに付着したり、泥やホコリを取り込んで車体にこびりつくので、全体になじませたら余分な油分はウエスで拭き取ります。面倒だからと、エンジンをかけてチェーンを回しながら行うと大ケガをするので絶対に行わないでください。
■ワイヤーやレバー、ペダルなどの注油
スロットルやクラッチワイヤー、ブレーキレバーやペダルのリンケージなどは、少々の雨天走行や洗車では問題ありませんが、年数が経つと各部のグリスが飛んで動きが渋くなってきます。洗車の仕上げに汚れを含んだグリスを除去して塗りなおせば、スムーズな動きが復活するはずです。
グリスには多くの種類があり、それぞれ耐水性や耐熱性などの長所や短所をもっています。場所によってグリスの種類を使い分けますが、バイクの車体でよく使われるものがセットになった製品も売られていますので、ビギナーでも1つ持っておくとよいでしょう。
■外せるものは外して洗う人も
外装はキレイでも、シートやサイドカバーを開けたらホコリまみれ……というバイクも少なくありません。外せるものは外して徹底的に清掃する洗車マニアもいますが、そこまでしなくても、メンテナンスでカウルなどを外した際、普段は見えない部分を清掃しておけばトラブルを未然に防ぐことができるはずです。
ブレーキ廻りはパッドのダストで汚れやすく、狭いため掃除もやりにくい場所ですが、パッド交換を自分で行える人なら、キャリパーを外して内部まで清掃とグリスアップをします。ここをメンテナンスするとスムーズで気持ちよいブレーキのフィーリングが復活するのですが、安全性に直結する部分なので、自信のない方はプロに依頼をした方がよいでしょう。
■徹底した洗車の意外なメリット
洗車やワックス施工に加え、油脂類のメンテまで行うことは時間も要しますが、乗車中は視界に入らない部分を見れるため、エンジンやサスペンションのオイルにじみやボルト・ナットのサビや緩み、タイヤのヒビやパンク、エアバルブの亀裂などに気がつくこともあります。つまり、予期せぬトラブルを未然に防げるというメリットもあるわけです。
ほかにも、ショップにメンテナンスを依頼した場合はどうでしょうか。細かなところまでキレイにされているとメカニックも気持ちよく作業ができ、依頼されたメニュー以外の不具合にも気づきやすくなります。『こんなに大切にされているバイクなんだから、こちらもプロとして手は抜けないぞ!』と思うメカニックもいるはずです。
■キレイを保つなら、駐輪場所も大事
いくら徹底的に洗車をしても、ボディが汚れてツヤがなくなったり、各部のグリスが抜けてしまいます。これはバイクを走らせているだけでなく、駐輪している環境でも変わってくるはずです。未舗装路で車体カバーを被せている場合、雨後の晴天でカバーの中はサウナのように蒸れ、風が吹けばボディと擦れて小傷もつき、台風の時には倒れてしまうこともあります。
小さな庇(ひさし)で雨風や直射日光をしのげるだけでも、バイクの経年劣化は格段の差になって現れます。施工したワックスの耐久性はもちろん、車体のコンディションも良いので故障などの出費も減り、売却時には高査定も期待できます。盗難防止なども合わせて考えると、レンタルガレージやシェルター型バイクカバーもコスパの面では有利かもしれません。
バイクはとても楽しい趣味ですが、それと同時にリスクもある乗物です。洗車はただ車体がキレイになるだけでなく、オーナーが愛車の状態を確認したり、バイクの構造を知ることができる立派なメンテナンスともいえます。
ぜひ洗車にこだわって、さらに楽しく安全なバイクライフをお送りください!
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