解析の結果、CNF表面には原子レベルの「凹み」が多く存在していることを発見。この凹みは、CNF全長の少なくとも30~40%を占めているという。また、折れ曲がりの付近で発生している凹みは、そのほかの場所に生じている凹みよりも深く長い傾向があることも確認されたとする。

  • CNFの欠陥構造の発生機構

    CNFの欠陥構造の発生機構 (出所:東大Webサイト)

研究チームでは、これらの結果を踏まえ、機械処理によってパルプがCNFへと解きほぐれる際にCNF表面からセルロース分子鎖が剥離し、CNFの折れ曲がりや切断につながるという、CNF欠陥構造の発生機構を提案したとしている。

なお、今回の研究で提案されたCNFの欠陥の発生機構は、欠陥のない理想的なCNFの生産の足掛かりとなる重要な知見だと研究チームでは説明しているほか、今回の知見は、CNFだけでなく、キチンナノファイバーなど、そのほかのバイオポリマーにも応用可能としており、今後のさまざまなバイオマスに由来する高機能材料の社会実装に貢献できるといえるとしている。