業界で今最も注目を集める8人組・ダウ90000にとって初の連続ドラマ『今日、ドイツ村は光らない』(日本テレビ4話=10月8日13:50頃、15日14:50頃、22日14:50頃、11月5日14:50頃/Hulu11話=毎週水曜0:00最新話配信)。千葉県にあるテーマパーク「東京ドイツ村」の最大の目玉であるイルミネーションが始まる前日、いわば“1年で最も暇な1日”での男女9人の悲喜こもごもを描くショートドラマだ。

ダウ90000最年少で現役の大学生である吉原怜那は、今作の総合演出を務める日テレの橋本和明氏と縁があり、一緒に仕事ができることに感激の様子。主戦場ではないテレビドラマで学んだこと、今年に入ってテレビ出演が急増する中での環境変化なども語ってくれた――。

  • ダウ90000の吉原怜那

    ダウ90000の吉原怜那

■総合演出は東大落研の先輩

ダウ90000のメンバーの中で唯一、日本大学芸術学部出身ではない吉原は、東京女子大に通いながらインカレサークルの東京大学落語研究会に所属。実は、今回の総合演出を務める橋本和明氏は東大落研の先輩で、その有志による「コント集団ナナペーハー」の座長経験者(橋本氏=初代、吉原=第43代)という共通点があった。

東大落研に入って、『有吉の壁』の総合演出などを担当する橋本氏がOBにいることを知り、その後、ダウ90000の公演を見た橋本氏から「いつか一緒にお仕事しましょう」と声をかけられ、『今日、ドイツ村は光らない』で、それが実現した。

一緒に仕事をしてみての橋本氏の印象を聞くと、「メンバー1人1人を本当によく見て、好きでいてくださって、ちょっとした会話から、このメンバーがどういう子かを瞬時に汲み取って、イジりしろがある子をイジったりしてくれて、すごくフランクに接してくださるんです。有名な番組のプロデューサーさんとか演出家さんって、すごく偉くて大御所の方っていうイメージがあったんですけど、完全にそれが取っ払われました」とのこと。

さらに、「台本の読み合わせのときに、『役をつかむにあたって、この役はこういうことがあるからこう出たいよね』とか、『このセリフにはこう返したいよね』と的確におっしゃってくれるんですけど、それがすごくお笑い寄りの演出だと思ったんです。見て笑えるものを作るということを軸に置いてらっしゃることがすごく伝わってきて、それがやりやすくて。やっぱり落研の頃からお笑いをやって、今はプロとしてテレビの世界でも面白いものを作るということをずっとされている方なんだなと、改めて感じました」と、同じサークルで育ったからこその共感があったようだ。

  • 橋本和明氏(左)と吉原怜那

■ダウ90000の良さが出せる環境を作ってくれた

これまで舞台を主戦場としてきたダウ90000。初めての連続ドラマとなった映像作品に挑んでみると、その違いがとても新鮮だったという。

「舞台もまだそんなに経験があるわけじゃないんですけど、映像の世界はすっごい新鮮でした。本当に素人みたいなこと言っちゃうんですけど、こっちから撮ったら次はこっちから撮るんだ、みたいな(笑)。『もう1回ここからください』とか言われて、なるほどそうやってカット割りしてるんだと思ったり、『ここはぶつかちゃうんで、もう少し右回りで走ってください』と言われてカメラに向けての動線があるんだと思ったり。あと、舞台だったらそのまま時系列に進むけど、映像だったらさっきは腕をまくってたのに、次の撮影でそのままだったらつながらなくなっちゃうとか、演技と同時進行でやらなきゃいけないこと、考えなきゃいけないことが多くて、『映像の役者さんって、こういうことをしながら演じてるんだ』と思って、全然違いましたね」

そんな中でも、いつものように舞台でコントを披露しているダウ90000の良さがそのまま出せるような環境をスタッフが作ってくれたそうで、「本当にありがたいなと思います」と感謝した。

■舞台に持ち帰ったら、もっと厚みが出る

映像作品を経験したことで、舞台に持ち帰れる発見もあった。

「映像だと、1話から順々に撮っていくわけじゃなくて、なんなら初日にラストシーンを撮って、2日目に1話・2話を撮るなんてこともあるじゃないですか。そうなると、自分の中で一本強い役の芯が通ってないと、ブレちゃうんですよね。バラバラに撮って、それぞれが違う人にならないようにするので、舞台のとき以上に役の芯をしっかり作るということをしたんです。だから、これを舞台に持ち帰ったら、もっと厚みが出るんじゃないかと思って。今までの舞台でも一生懸命やってきたつもりだったんですけど、まだまだ未熟だったこともあって、“役作り”というのを改めて学ばせていただきました」

  • (左から)吉原怜那、小関裕太、蓮見翔

普段はメンバー8人で芝居するのに対し、今回は小関裕太を主演に迎えたが、「すっごい優しくて、いつでも爽やかで、ダウにはこんな人いないです(笑)」と印象を明かした上で、「読み合わせのときに『僕はこういうふうに思ったから、最初はこんな感じで、だんだんこうなっていくのがいいと思うんですけど』という感じで、ご自身の中の演技プランをしっかり提案されていていたんです。台本を面だけで捉えるのではなくて、奥行きから捉えていくという作業を、自分たちも改めてしなきゃいけないなと思いました」と、刺激を受けた様子。

また、「小関さんは表情に隙間がない感じがしました。私たちはコントになると、一番面白いテンポで、一番面白い音程で言わなきゃいけないということに結構気を取られて、顔を作りすぎていると狙いに行ってる感じもするから、表情に気をつかう余裕がないんです。でも、映像になるとアップもあるから、そういうときに小関さんがすごく凛とした表情で止まっているのを見ると、これが“画になる”っていうことなんだろうなと思ったんです」と感銘を受け、改めて「本当に学ぶことばかりの現場でした」と大きな糧になった。