マネ―スクエアのチーフエコノミスト西田明弘氏が、投資についてお話しします。今回は、米ドル/円の近況について解説していただきます。
米ドル/円は9月上旬以降、145円の手前で一進一退を続けています。9月22日には一時145.85円まで上昇しましたが、そこで政府・日銀のドル売り円買い介入が入って140円近辺まで下落したことは記憶に新しいところです。その後は反発していますが、なかなか145円台に乗らない状況が続いています(10月7日午前10時現在)。
145円台には介入警戒感
為替市場は145円台で再びドル売り円買い介入が実施されるのではないかと警戒しています。いわゆる「神田シーリング」です。為替介入を指揮した財務省の神田財務官の名を冠したものです(実際の売買は日銀が担当)。
「神田シーリング」は存在しない⁉
そもそも「神田シーリング」は存在しないでしょう。9月22日に政府・日銀が円買い介入に踏み切った水準が145.900円前後でした。ただ、介入直後に鈴木財務相は「投機による過度な変動は決して見過ごせない」と説明。また、神田財務官本人が「(米ドル/円の)水準のことを考えたことは全くありません」と語っていました。
為替介入の効果は?
もっとも、円買い介入に一時的に「円安」を止める効果があったことは間違いないでしょう。米ドル/円と米長期金利の強い相関が続いていましたが、9月末にかけての米長期金利上昇局面でも米ドル/円はほぼ横ばいで推移したからです。米ドル実効レート(円の比重は13.5%)が9月中旬以降も米長期金利と連動していることと対照的です。
米長期金利は上昇トレンド継続!?
さて、米長期金利は10月4日に右上がりのトレンドラインでサポートされて反発した形です。本日7日の9月米雇用統計も含めて今後の状況次第ですが、多くのFRB関係者がアグレッシブな利上げ継続のメッセージを出しており、上昇基調が続く可能性が高そうです。
米ドル/円は147円や150円も視野に!?
米長期金利の上昇基調が続くならば、米ドル/円に上昇圧力が加わり、「投機的」「過度」「一方的」でない限り、米ドル/円は145円を超えて上昇し、98年高値の147.710円、さらには90年8月以来となる150円も視野に入るかもしれません。