iPhone 14シリーズに、新しい大画面モデル「iPhone 14 Plus」が追加されました。iPhoneの大画面モデルは、シリーズ最上位の「iPhone 14 Pro Max」がありますが、iPhone 14 Plusは大画面ながらかなり軽いうえ、デザインもシンプルめにまとめられており、コスパにも優れる1台に仕上がっています。「YouTube動画も大学のリポート作成もiPhoneだけでこなす!」という“脱パソコン世代”の若年層に響く1台となりそうです。

  • 小型のminiシリーズ(右)に代わり、6.7型の大画面パネルを搭載する「iPhone 14 Plus」(左)が登場。大画面ながら軽いボディ、シンプルなデザイン、長時間バッテリー駆動、手ごろな価格など、一般層が魅力を感じるポイントがバランスよく盛り込まれている。iPhone 14 Plusは10月7日(金)から販売する

「大画面なのに低価格」のiPhone 14 Plus、軽さにも驚き

9月上旬のスペシャルイベントで発表された新しいiPhone 14シリーズは、ニッチな人気を得てきた5.4型パネルの小型モデル「iPhone 13 mini」の後継モデルが投入されず、代わりに6.7型パネルの大画面モデル「iPhone 14 Plus」が新たなラインとして追加されました。

「ほかにはないminiのコンパクトボディが好きだったのに…」「大画面モデルはPro Maxがあるじゃん」と疑問を持つ人もいるかと思いますが、世界的なスマホの売れ筋トレンドは「大画面で低価格」。カメラを中心とした性能を磨き上げるPro Maxモデルでは価格が高くなってしまうことから、ベーシックなiPhone 14の派生モデルとして手ごろな価格の大画面モデルを導入したと考えられます。

  • 左がiPhone 14 Plus、右がiPhone 14 Pro Max。どちらもパネルは6.7型でサイズは同じ。iPhone 14 Plusはディスプレイの最上部がノッチなのに対し、iPhone 14 Pro MaxはDynamic Islandを採用するのが相違点だ

  • 両者の大きな違いといえるのが背面カメラ。iPhone 14 Plus(左)はオーソドックスな超広角+広角の2カメラなのに対し、iPhone 14 Pro Maxは望遠カメラやLiDARセンサーも加えた3カメラとなる

6.7型パネルの大きさはiPhone 14 Pro Maxと同じですが、手にした瞬間に「軽い!」と感じました。iPhone 14シリーズの重さは以下の通りで、iPhone 14 Plusは6.1型パネルのiPhone 14 Proよりもわずかに軽いほど。「大画面のiPhoneは重たい」という欠点を解消したのは評価できます。

機種名 パネルサイズ 重さ 価格
iPhone 14 6.1型 172g 119,800円~
iPhone 14 Plus 6.7型 203g 134,800円~
iPhone 14 Pro 6.1型 206g 149,800円~
iPhone 14 Pro Max 6.7型 240g 164,800円~

大画面のメリットは表示が大きいだけじゃない

パネルは、iPhone 14 Pro Maxとは違ってピーク時2,000ニトの高輝度やなめらかな表示が可能なProMotionには対応していませんが、YouTubeやApple TV+などの動画配信サービス、Apple Arcadeなどのゲーム、SafariのWebブラウジングを試してみても、表示に不満は感じませんでした。

  • 大きなパネルの魅力が引き立つのが動画再生。音声もステレオで再生され、迫力は十分。写真は、Apple TV+の「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」

  • ゲームも大きな画面だと楽しいうえ、操作する指で画面が見えなくなる割合が少なくて済むので、大画面のメリットが活きてくる。写真は、Apple Arcadeの「Fantasian」

大画面になったことで、「文字が打ちやすくなる」「1画面の情報量が増える」というメリットも生まれます。近ごろは、大学のリポート作成もパソコンを使わずiPhoneだけでこなす学生が増えており、長文の作成もはかどるハズ。「フリック入力のキーが大きいと入力しづらい」という場合も、地球ボタンの長押しで「片手用キーボード」にすることでキーのサイズを縮小できます。

  • 左からiPhone 13 mini、iPhone 14、iPhone 14 Plus。Webブラウザーなどでは、画面サイズが大きくなるほど1画面で表示できる情報量が多くなる

  • 画面が大きいiPhone 14 Plusは、1画面に表示できる情報量が増えるだけでなく、キーボードも大きくなるので入力しやすくなる

  • 地球ボタンを長押しすれば、キーボードの大きさをワンタッチで変えられるので、コンパクトなキーボードが好みの人も心配いらない

ボディの大型化で大容量のバッテリーが搭載できたことで、バッテリー駆動時間の延長も図られています。ストリーミング動画再生時のバッテリー駆動時間は、iPhone 14の16時間から20時間に2割以上延びています。スマホがなくては何もできない時代、バッテリー駆動は長ければ長いほどありがたいので、この改良は評価できます。

カメラ機能は標準的だが、存在感や厚みを抑えた造形が魅力

iPhone 14 Pro Maxとの大きな違いがカメラ機能。iPhone 14と同じく超広角+広角の2カメラタイプとなっており、望遠カメラはありません。デジタルズームも最大5倍までとなっており、望遠性能は見劣りします。クアッドピクセルセンサーやRAWモードの撮影、LiDARセンサーもなく、カメラ機能はごく標準的な仕様といえます。ただ、メインカメラはセンサーが大型化され、新たにPhotonic Engineを搭載したことで、画質を底上げ。薄暗い場所でもナイトモードに頼らず精細感のある写真が撮影できました。

  • 夜の国立競技場の特徴的な屋根をスタンドから撮影。肉眼ではよく分からないほどの暗さだったが、細かな造形もしっかり描き出している。照明が当たっている部分の白飛びも最小限に抑えており、不自然な表現にはなっていない

また、歩きながらの動画撮影で不快なブレや揺れを抑える新機能「アクションモード」も搭載しているので、ふだん動画をよく撮影する人は使い甲斐のある1台になったといえます。

デザイン面でも、iPhone 14 Pro Maxと比べてカメラ部の造形がシンプルにまとめられていることが見逃せません。iPhone 14 Proシリーズは、センサーの大型化などを受けてカメラ部が大型化しており、「大画面のiPhoneが使いたいけれど、大きく目立つレンズが3つもあるのはちょっと恥ずかしい…」とためらう人もいるはず。iPhone 14 Plusは、カメラ部が比較的小さく目立たず、シンプルな外観で気後れすることなく使えます。

  • カメラが2つで小さくまとまっているiPhone 14 Plusは、カメラ部の造形がさらに大型化したiPhone 14 Pro Maxと比べると見た目の威圧感が格段に少ない。カメラ部の厚みも抑えられている。この点を好ましく感じる人も少なくないだろう

iPhone 14 Plusの価格は134,800円からで、119,800円からのiPhone 14と比べると15,000円アップとなります。約1割増しの+15,000円でiPhone 14 Pro Maxと同等の大画面+長時間バッテリー駆動が得られることを考えると、コスパは高いといえます。大画面のiPhoneを少しでも安く手に入れたい人や、大画面でも重いスマホはちょっと…と考える人には、ベストなチョイスとなるでしょう。