値上げラッシュが続く10月、じわじわと支出が増え、お財布事情が厳しくなっている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、『見るだけでお金が貯まる 賢者のノート』を出版されたFPの水上克朗さんにインタビュー。収入の多寡にかかわらずお金を着実に貯めていくために、若手社会人が実践すべきポイントを伝授していただきます。
ライフプランをシミュレーションしお金を貯める仕組みを作る
――これからお金を貯めたいと思っている20代・30代の世代が、まず取り組むべきことはなんでしょうか?
まずは「収入が少ない=お金が貯まらない」という考え方を捨てて、お金の貯め方や増やし方について勉強をしてほしいと思います。
そして、いつまでにいくら貯めるかなど、目的を持って資産形成に取り組みましょう。結婚や子育てだけでなく、留学などの将来のイベントに備えて、お金のシミュレーションをしていくことが大切です。
――将来必要になるお金をシミュレーションするんですね。無理なく貯めていくために大事なことはなんでしょうか?
自分のライフプランに必要なお金の全体像が見えてきたら、次はその目的に向かって貯蓄していきましょう。そのためにも、お金を貯める仕組みを知ることが大切です。まずは4つの基本ポイントをおさえましょう。
一つ目は、給与から「先取り」で自動的に貯蓄するということです。ある研究では、人は収入が増えるとその分お金を使ってしまう習性があるということがわかっています。お金が残ったら貯金をするのではなく、先取りで強制的に貯蓄するようにしましょう。
二つ目は、手取り20%の貯蓄を目指すということです。手取り30万円の給与であれば、毎月6万円の貯蓄ができると理想的です。
三つ目は、貯蓄額の半分は、毎月の積立投資で地道に資産形成をしていきましょう。例えば、毎月2万円を投資信託に回すことで、65歳になる頃には2,000万円を確保できる可能性があります。
もちろん年利によって左右されることですが、銀行の定期預金の金利でお金を増やすということは難しいでしょう。月に5,000円でも構いません。若いということは、老後まで時間があるということですから、時間を味方につけて資産を長期的に運用することを考えてみてください。
そうは言っても、人生何があるか分かりません。「まさか」の時に備えるためにも、投資を始めるタイミングは、6カ月分の生活費が蓄えられてからのスタートが良いと思います。
そして四つ目は、節約です。毎月の生活費を知っていますか? 無駄に支払っているものはありませんか? 固定費やサブスク料金などを見直して、無駄を省きましょう。ケチケチするのは、あまりお勧めしません。無理なく取り組んでみましょう。
――ライフプランを立てると必ず必要になるのが、住宅資金・教育資金・老後資金です。それぞれで貯め方のポイントはありますか?
住宅に関しては、購入費用以外にも諸費用がかかるので、住宅価格の20%の頭金を支払えるようにしましょう。頭金が用意できれば、借入金も少なくできるので、毎月の返済額も抑えることができます。
教育資金については、児童手当や貯金をうまく活用しましょう。児童手当をすべて貯めると198万円、18歳まで月1万円を貯金し続けると216万円、合計で400万円ほど貯めることできます。これで私立大学の入学金と授業料を準備できます。貯蓄方法については、預金の他にも、保険や投資信託などありますが、それぞれのメリットやデメリットを確認して貯めていけると良いでしょう。
老後資金は、老後まで使わないものですから、余裕資金があれば、つみたてNISAやiDeCoを活用するなど、時間をかけてお金を増やす方法を考えていきましょう。
上手に「お金」と向き合うために
――これから家計管理や資産形成にしっかり取り組みたいと考えている方に伝えたいことはなんですか?
お金の価値観や常識というのは時代と共に変わっていきます。例えば、我々より上の世代の方というのは、銀行に100万円を預ければたくさん利息がついて12年で倍になるような時代を過ごしています。でも今は銀行にお金を預けてもほとんど利息はつきません。親から「貯金しなさい」と言われて、はい分かりましたと貯金しても、お金は増えないんです。
だから、お金のことについては自分で勉強する必要があります。まだまだお金について周囲と話すのは恥ずかしいという風潮があると思いますが、私はもっと周りの人とお金の話をして、情報交換すべきと考えています。
自分のお金と向き合うということは、自分の「生き方」と向き合うということでもあります。これからの長い人生、自分がどう生きるのかを考え、目的に応じた貯蓄の仕方でお金を貯めて増やしていきましょう。うまくお金とつきあっていくことが大切ですね。