AuB(オーブ)は9月30日、腸内環境の研究結果から、食物繊維の「量」より「種類の多さ(種類数)」が健康にとって重要であることを発表した。

  • 食物繊維の「種類数」が多いと、腸内細菌の多様性指数と酪酸菌の割合の双方で有意差

同研究は2017年9月~2018年6月、摂取する食物繊維の「量」と「種類数」に着目し、どちらが腸内環境に好影響を及ぼすかを明らかにすることなどを目的に実施した。被験者は、20~50歳の一般男女160人。被験者から収集した便に含まれる腸内細菌のDNAを解析するとともに、「食習慣」に関するアンケート調査も実施した。

その結果、食物繊維の種類を多く摂取している上位群の方が、少ない下位群より、「菌の多様性指数」と「酪酸菌の割合」の両方で有意差(有意水準 5%=P 値 0.05以下、以下同じ)が認められた。

食物繊維の「種類数」は、食物繊維を多く含む芋、緑黄色野菜、キノコ、海藻、豆、果実類の6食品群のうち、3食品群以上について、被験者全体の平均値以上を摂取しているかを境に上位と下位に分類している。菌の多様性指数は上位群(71人、1日あたりの平均摂取食品群3群以上、食物繊維量12.1g)が 99.0で、下位群(89人、同2群以下、10.0g)の 87.8より約13%高く、酪酸菌の割合は上位群が 10.5%で下位群の7.6%より2.9ポイント高かった。

菌の多様性指数は、上位群(80人、1日あたりの食物繊維摂取量13.9g)が95.0で、下位群(80人、同8.0g)の90.6と有意差はなく、酪酸菌の割合は上位群が10.5%で下位群の7.4%より3.1ポイント高い結果となった。

  • 食物繊維の「種類数」が多いと、腸内細菌の多様性指数と酪酸菌の割合の双方で有意差

この研究によりに、食物繊維の「量」より「種類数」の方が、多様性指数と酪酸菌の割合の双方において有意差が認められた。また、「種類数の上位群」と「量の上位群」を比較すると、摂取する食物繊維の量(1日あたりの平均)が1.8g少ない「種類数の上位群」の方が、腸内細菌の状態が良い結果を得た。

  • 食物繊維の「量」が多いと、酪酸菌の割合のみ有意差

このことから、食物繊維は摂取する「量」より「種類数」の方が、人の健康において重要であることが明らかとなった。