帝国データバンクは10月1日、上場する食品メーカー主要105社を対象に実施した「価格改定動向調査(10月)」の結果を発表した。それによると、10月は今年最多の6,700品目で値上げが実施されるという。
「値上げラッシュ」が今年最大の山場を迎える。上場する主要飲食料品メーカー105社における、2022年以降の価格改定計画(値上げ、実施済み含む)を調査した結果、累計2万665品目の値上げが判明。このうち、10月単月の値上げは6,699品目と、前月の2.8倍、これまで年内最多だった8月の2.6倍と、記録的な値上げが実施される予定となっており、2万665品目の9割以上が、10月までに値上げを終える。
各品目の価格改定率(各品目での最大値)は平均14%。10月単月では16%と、8月(18%)に次ぐ高い水準に。春先から続く小麦や食用油価格の上昇に加え、原油高に伴う包装資材や容器、物流費の高騰、今夏から急速に進行した円安水準などが重なり、食品分野を問わず大幅な価格アップに踏み切るケースが多いよう。
食品分野別にみると、最多は「加工食品」で年内8,530品目が判明。値上げ率も平均で16%に達し、特に秋以降にかけて大幅に値上がりする食品が多くみられた。次いで、マヨネーズ製品やドレッシング製品などの複数回値上げが目立つ「調味料」(4,808品目)、ほとんどの飲料が一斉に値上げされる「酒類・飲料」(3,970品目)、ジャガイモや砂糖の価格上昇などが影響した「菓子」(1,332品目)と続き、「乳製品」(985品目)では、パック牛乳などのほか、ヨーグルトやスライスチーズ、乳幼児向けの粉ミルク製品などを中心に、前月から285品目増加。輸入飼料の価格高騰などを背景に、飲用・発酵乳用途向けの生乳取引価格が11月以降引き上げられるほか、ホエイなど輸入原料乳価格の上昇も背景に。
こうしたなか、政府による輸入小麦価格の据え置きに加え、下落が続いたドル円相場に対する政府介入、景況感の原則により下落が予想される原油価格などにより、輸入小麦・原油価格など主な値上げ要因に沈静化の兆しが。
しかしながら、その一方で、電気・ガス代に加え、飼料価格の上昇による生乳価格の引き上げなど新たな値上げ要因も出始めており、来年以降に再び断続的な「値上げラッシュ」が到来する可能性は否定できないという。