いま海外のSNSで話題になっているのが、Windows 11 バージョン22H2(以下、22H2)にアップデートすると、Spotifyが自動インストールされる・自動起動するといった投稿だ。確かに、Windows 11を新規インストールするとSpotifyが含まれたように記憶しているが、筆者の環境ではスタートアップに登録される場面はなかった。Spotify未インストールのデスクトップPCは変化なし。SpotifyをアンインストールしていなかったノートPCもスタートアップの中身は変わらない。

  • ノートPCのスタートアップエントリー

    ノートPCのスタートアップエントリー

試しにWindows 11 Proを新規インストールしてみたが、スタートアップエントリーはMicrosoft Teams、OneDrive、SecurityHealthSystrayの3つ。CortanaとWindowsターミナルも登録されたが無効状態だった。

では、トラブルに見舞われているユーザーの声は偽物なのだろうか。Microsoft StoreでSpotifyのページにアクセスすると、国内からも類似する意見が散見される。どうやら国内外を問わず、Spotifyがインストール・自動起動するトラブルは発生しているようだ。筆者の環境では「22H2にアップデートしても、Spotifyの強制インストールやスタートアップエントリーの変更は行われない」のだが、2022年9月末の本稿執筆時点でMicrosoftやSpotify Technologyはこの件に関してコメントを出していない。

  • 「もっとも役に立つ」に変更すると現れるSpotifyの評価

ちなみにSpotify自身はよいアプリ、サービスだ。筆者もスマートフォンにインストールしており、コロナ禍以前の多忙な外出時は気分転換に使う場面も少なくなかった。ただ、デスクトップPCでは有用性を見いだせず、いまだにそれほど多くは使っていない。

今回の問題はエンドユーザーの所有物であるPCに対して、明示的な確認を行わずアプリをインストールしたことだろう。アンインストール自体は容易だが、ユーザーに本来なら不要な操作を強いるのはよくない。

  • 「設定」の「アプリ/インストールされているアプリ」からアンインストールできる

個人的には、サードパーティー製アプリが既定でインストールされるのは好ましくない――というのが正直な感想だ。たとえば新規インストールしたWindows 11 Proのスタートメニューには、Adobe Express、Spotify、Disney+、Prime Video、TikTok、Instagram、Messenger(Facebook)などが並んでいる。筆者が仕事でも多用するMessengerがあるのは便利に感じるものの、各SNS系アプリや動画ストリーミングサービスのアプリは不要だ。

他方で、Windows 11 PCをエンターテインメント用途で用いるユーザーには、いずれも有用だろう。このようにユーザーの利用状況に応じて評価は異なり、Spotifyを愛用しているWindows 11ユーザーは今回の件に気づいていないと思われる。

  • 新規インストールしたWindows 11 Pro

古くはスマホ系パズルゲームのCandy CrushがUWPアプリとしてインストールされるなど、Windows 10を新規インストールしたときは不要なアプリを削除するのが最初の作業だった。Microsoftとしてはパートナー企業に対するマーケティングの一環として、OOBE段階のアプリインストールを行っていると察するが、さまざまな使い方をするエンドユーザーの信頼を失う遠因にならないか心配だ。