日本テレビのドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’22』では、色素性乾皮症(しきそせいかんぴしょう)という難病に診断された子どもとその家族を追った『太陽と海陽~陽の光を浴びられない男の子~』(読売テレビ制作)を2日(25:25~)に放送する。
静岡県浜松市に暮らす新貝海陽くん(1)。名前に込められたのは、海を照らす太陽のように輝く人になってほしいという両親の願いで、家には生まれた日の朝陽の写真が飾られている。
海陽くんは生後2か月で、紫外線を浴びると皮膚がんが発症する「色素性乾皮症」と診断された。日中に紫外線を少しでも浴びると顔中が水膨れとなり、火傷のような症状が出てしまう。
3兄妹の末っ子で、長女・陽花ちゃん(5)、長男・夕海くん(3)は弟の病気を理解し、身の回りのサポートを積極的にしてくれる。休日は川や海に出かけるアクティブな一家だったが、海陽くんの病気が判明してからは、日中の行動を避けるようになった。どこに行くにも、紫外線メーターで紫外線量を計測し、紫外線を避ける生活。夏の日差しの強い日は、一般的に紫外線量は5,000マイクロワット。一般の人でも日焼けをするレベルだが、海陽くんは、一生、紫外線量100以下の生活を続けなくてはならない。それは、日没以降でないと、外に出ることができないことを意味する。
この病気の怖いところはもう1つ。たとえ太陽を浴びない生活を続けても、6歳で身体機能の低下や難聴が始まり、長くても20歳まで生きることができないと言われていることだ。陽の光を避けて生き続けても、死が近づく難病に幼い体は耐えている。
どんなに暑い夏でも、海陽くんは防護服が欠かせない。通気性が悪く、高温多湿で呼吸も困難なときがある。症例が少ないため、防護服は市販されておらず、母・真夕さん(34)が手作りした。手には靴下を履かせ、肌に光が当たらないように何着も服を重ねて着せる。「健康な体に産んでやれなかった」という後悔がずっと胸に残っている。
両親は治療につながるヒントを得たいと、浜松医大に通院するほか、神戸大学や大阪医科薬科大学に出向き、セカンドオピニオンを求めた。父・篤司さん(39)は「何がなんでも、息子の病気を治したい。将来、防護服を着ないで、太陽の下を思いっきり飛び回ることができるようにしてあげたい」と強く願っている。
今年2月、SNSでつながった広島県広島市の河野さん一家の寧々ちゃん(15)と龍馬くん(13)の2人は、海陽くんと同じ色素性乾皮症と診断され、神経症状の悪化が進んでいる。1人で歩くこともままならず、会話のやりとりもほとんどできない。症状が進むにつれて、だんだん会話ができなくなり、1人で風呂にはいることもできなくなり、日に日に体力を失っていく。新貝さん夫妻にとって、2人の姉弟の姿は、まさしく、海陽くんが歩む将来の姿。深い悲しみが生じるが、この出会いをきっかけに両家に強い絆が芽生える。
日本では300人程度しか症例が発見されていない難病。太陽に浴びることができないという過酷な現実。それでも完治を信じ、走り続ける一家の姿を通して、家族の絆と強さを、女優・広末涼子のナレーションで伝える。