女優の福原遥がヒロインを務める連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか)が、いよいよ10月3日からスタートする。1990年代から現在までを描く本作は、福原演じるヒロイン・岩倉舞が大空に舞いあがる夢に向かっていく挫折と再生のドラマ。本作で描かれるヒロイン像や込められた思い、そしてヒロインの福原の魅力など、制作統括の熊野律時氏に話を聞いた。
ものづくりの町・東大阪で町工場を営む父の浩太(高橋克典)、母・めぐみ(永作博美)、兄・悠人(横山裕)と4人暮らしをしていた舞はある日、自然豊かな長崎の五島列島にいる祖母・祥子の元を訪れる。そこで広い空に舞いあがる「ばらもん凧(だこ)」に魅入られ、大空への憧れを抱いていく。
熊野氏は、番組のキャッチコピー「向かい風を受けてこそ空高く飛べる」を紹介した上で、「いろんな困難がある中でも下を向かず空を見上げて進んでいくヒロインの成長物語」と説明。
「今現代、生きていく中で日々いろんなことが起きていて、つらいしんどいと思うことも多々ある。それを受け止めて、ポジティブに前に進んでいく力に変えていくことができる生き方を、ヒロインを通して伝えていけたら」と本作に込めた思いを語る。
本作には、五島列島のばらもん凧が大事な要素として登場する。熊野氏は「凧は、向かい風を受けないと空にあがれない。それが最も象徴的に出ている存在。五島には子供の健やかな成長を願ってばらもん凧をあげる風習があると知り、まさにドラマの目指しているテーマとぴたりと一致するところがある」と五島列島を舞台の一つに選んだ理由を説明し、「ヒロインの健やかな成長を象徴するものとして凧があがっていく」と凧の重要性を語った。
向かい風は、逆境や大変なことという意味を含むが、ヒロインに吹いてくる風はつらいことだけではない。「いろんな人との関係・絆が彼女を高くあげていく」と熊野氏は語る。
ヒロイン像については、「1人で頑張ってあがっていくのではなく、いろんな人と手を携えて空高くあがっていくイメージを大事にしよう」と、脚本家の桑原亮子氏と話したという。
「舞ちゃんはすごく周りの人の気持ちもよくわかる。生きづらさを抱えている人たちもいるという部分にもしっかりと目を向けて、それぞれの持っている個性や力をちゃんと見つめて向き合って、一緒に大きな困難を乗り越えて、いろんな人をつなげて前に進んでいく。一歩一歩ゆっくり、関わる人たちのペースや生き方を尊重しながら、一緒に協力してできることあるということを共有しながら前に進んでいくイメージのヒロインであることも大事にしています」
そして、「いろんな人がいろんな事情や気持ちを抱えているということも含めて、もっと幸せになるにはどうしたらいいんだろうということを、空を飛ぶことにも象徴させながら進んでいくヒロインでありたい」と力を込め、「東大阪の人たちの気持ちや事情にもヒロインは関わっていきますし、五島の島の人たちの暮らしや思いも受け止めて、その中でゆっくりと成長していくような柔らかく優しい物語。大変なことあるけど一歩一歩確実に前へ進んでいく。そういうドラマとして皆さんにお届けできると、現代ドラマとしてお届けしていく意味があるのかなと思いますので、周りの人も気にしながらみんなで一歩一歩進んでいける話として作っていけたら」と語った。