KDDIは9月29日、黒部峡谷鉄道(富山県)の全区間でauスマートフォン/携帯電話を利用できるよう、2022年8月までにエリア整備を完了したと発表した。全区間をエリア化したキャリアは初。

  • 黒部峡谷鉄道

    黒部峡谷鉄道

黒部峡谷鉄道は黒部川沿いを走る観光路線で、特に紅葉シーズンには絶景を楽しめる「トロッコ列車」で知られる。多くの観光客が利用する路線だが、黒部峡谷一帯は中部山岳国立公園に指定されており、本路線も黒薙駅以南は規制の厳しい特別地域を走行しているため、エリア整備には高いハードルがあった。

基地局の新規設置に特別な許可が必要となる国立公園特有の事情に加え、機材をトラックで搬入できる道路が通っていないこと、通常の鉄道用トンネルよりも狭く湾曲したトンネルが多数あり、トンネル外からの電波が届きにくいことなども難航した理由だ。

対策として、直進性の高い電波を発射するアンテナをトンネルの入口付近に設置。機材の搬入、冬季の積雪を考慮した設置場所の選定など、路線の特性を踏まえた工夫を重ね、実現に至ったという。

  • 通信エリア対策工事の様子

    通信エリア対策工事の様子

  • トンネル入口付近に設置された通信設備

    トンネル入口付近に設置された通信設備