なお、SkyDriveではSD-05のユースケースとして、(1)既存の公共交通機関では遠回りになってしまう地形でのショートカット、(2)静音性に優れるeVTOLならではのリゾート施設や街中での利用、(3)救急医療現場での活用などを検討しているとした。
例えば(1)の活用としては、観光スポットが集結する大阪ベイエリアでは、あるレジャー施設から別のレジャー施設まで、直線距離なら1km程度だが、海を隔てるため公共交通機関を使うと40分もかかるケースがあるという。それに対し、SD-05を使えばおよそ5分しかかからないとする。もちろん、従来の公共交通に対し、利用料金は高くなることが想定されるが、40分かかるところを5分で済む効率性を得ることが可能となる。
(2)としては、一般人も利用可能な既存の垂直離陸が可能な航空機としてはヘリコプターがあるが、こちらは上空を通過するだけで爆音がするほど、静音性の欠片もない乗り物である。それに対し、SD-05はeVTOLなので、ローターの風切り音はあるにしても、エンジン音がないことから、それだけ静音性が大きく高まる。爆音がしなければ、リゾート地や街中での離着陸もしやすくなることが考えられるという。
(3)としては、地形や渋滞にも影響を受けず、静音性に加えてコンパクト・軽量な機体であることから、狭い場所やビルの屋上などにも着陸しやすい特徴を背景に、クルマでは到着までに時間を要したり、ヘリでは着陸が難しかったりするような災害現場などでも、医療従事者をいち早く送り届けることが可能だとしている。
なお、SkyDriveでは日本国内に限らず、海外での事業展開も目指した活動を推進中だとのことで、例えば米国ではラストワンマイルの空の移動手段というニーズを見込み、2022年9月に現地事務所を設置し、自治体や協業企業とともに市場開拓を進めているとした。今後、「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、SD-05の開発と実証実験を重ねることで、さらなる安全、安心な機体の開発を進めていくとしている。