fMRI画像データは、大脳皮質CO2変動や呼吸パターンの影響を受けるため、ノイズ除去処理を実施。その結果、記憶想起の際にEI転移期が入り込むと、右側頭頭頂接合部(TPJa)、右中前頭回(MFG)、背内側前頭前皮質(dmPFC)で活動が低下し、記憶獲得や記憶固定のときよりも有意に高い値が示されたという。
これらの脳領域に関わる機能から、EI転移期は「記憶そのものというよりも、Alertness(注意力・用心深さ)やAttention(注目・配慮)などの情報処理に作用すること」が考えられると研究チームでは説明するほか、これらの結果が示しているのは、呼吸のタイミングとこれらの脳ネットワークの協調がカギとなり、それが脳機能を制御し、結果としてパフォーマンスに影響を及ぼすことが示唆されたとする。つまり、「息を吸う瞬間に、脳の中では、記憶力そのものよりも集中力が散漫になっていること」が明らかになったとしている。
なお研究チームでは今後、記憶力や認知力を向上させる取り組みとして、集中力を高めるためのより効果的な呼吸法について明らかにしていきたいとしている。