サッポロビールはこの9月より、ヱビスブランドの生誕の地である恵比寿の街でブランドアクションを続々と開始している。9月15日に開催されたメディア内覧会では、恵比寿の街を起点に、ヱビスブランド独自の資産を活用した“リアル体験”を提供する新業態店舗の特徴や、同ブランドの取り組みの展望などが紹介された。

“圧倒的リアル体験”を掲げるブランド戦略

日本麦酒醸造会社(現サッポロビール株式会社)が1890年に製造・販売を開始し、ヱビスビール。かつてヱビスビールを輸送するための駅として新駅「恵比寿停車場」が作られ、やがて「恵比寿駅」となり、「恵比寿」という街の名となった唯一無二のビールブランドだ。

  • ブランドマネージャーの沖井尊子氏

日本初のビアホール開業や、ブランド誕生からわずか4年後に黒ビールを発売するなど、日本のプレミアムビールの先駆者として、さまざまな取り組みを展開してきた歴史を持つヱビスブランド。近年そうした取り組みの中でも、とりわけ重視しているのがリアル体験だ。

例えば、ヱビスビールを楽しむイベントを積極的に開催。恵比寿の「ヱビスビール記念館」、札幌の「サッポロビール博物館」、銀座の「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」など、ブランドのルーツ・エリアに根ざした体験施設を運営する。

また、1988年の工場の移転に伴い約100年におよぶビール製造の歴史に幕を下ろした恵比寿でのビール醸造を、35年ぶりに再開することも発表された。ヱビスのブランド体験拠点として、「YEBISU BREWERY TOKYO」の開業を2023年末に予定している。

  • 目の前でつくられているビールを五感で楽しむ体験ができるブリュワリー。リアルタイムに醸造されるヱビスそのものを楽しむ空間になる

本施設は現在のヱビスビール記念館に総工費約13億円をかけ、ビール製造設備、ヱビスビール歴史資料展示、飲用スペースを併設するというもの(ヱビスビール記念館は 2022年10月末から休館予定)。ブランドのルーツ・現在・未来をミュージアム、ブリュワリー、タップルームというかたちにそれぞれ落とし込み、同ブランドの魅力を体験・発見できる拠点として活用していく。

  • 「YEBISU BREWERY TOKYO」の全体図

ヱビスビール&料理を堪能! ビヤバーや駅ナカの新業態店舗も続々

また「YEBISU BREWERY TOKYO」の開業に先立ち、ヱビスブランドでは新リアル体験接点の提供するアクションをこの下期から恵比寿の街で開始している。

9月13日には恵比寿ガーデンプレイス エンプレイスに新業態「YEBISU BAR STAND(ヱビスバースタンド) 恵比寿ガーデンプレイス店」がオープン。サッポロライオンとサッポロビールがともに構想を重ねて誕生したというビヤバーで、待ち合わせやちょっとした日常の合間などの利用シーンを想定し、おひとり様でも気軽に楽しめる料理などを用意する。

  • サッポロライオンとサッポロビールが構想を重ねてオープンした、「ALL FOR YEBISU ~ヱビスの全てが、ここにある。~」がコンセプトのビヤバー「YEBISU BAR STAND」

本店舗では樽生ヱビスは全ラインナップを提供。5種類のレギュラーラインアップからミニグラスで2杯選べる飲み比べ「TASTING OF YEBISU」や、ランチ限定『ヱビスビールで煮込んだカレー』、オリジナルビヤカクテルなどのこだわりメニューを揃えている。

さらに、JR東日本クロスステーションとの共創プロジェクトとして、 JR 恵比寿駅東口構内に“駅と街をつなぐ新しい駅ナカ新業態店舗「TAPS BY YEBISU」を9月16日にオープンした。

  • 「TAPS BY YEBISU」のオープンを記念し、JRの恵比寿駅東口には期間限定で「ヱビスビール口」という名称が追加された

こちらの店舗では高品質の「ヱビスビール」をはじめ、「琥珀ヱビスプレミアムアンバー」ほか数種のヱビスブランド商品を用意。季節限定のラインナップや 5種類のヱビスから組み合わせを選ぶビアブレンドなど、ヱビスならではの本格的なおいしさと、豊富なラインナップを楽しめる。

フードメニューは“ TAP & GO”をコンセプトに、好みに合わせてセレクトできる駅ナカならではの短時間で楽しみやすい小皿料理をはじめ、ヱビスビールの奥深い味わい引き出すフリット、煮込み料理などを提供。恵比寿の街の飲食店と定期的にコラボし、多様なヱビスと料理のマリアージュを堪能できる。

  • 1988年まで恵比寿にあったヱビスビール工場をイメージし、赤レンガや銅製の釜をモチーフにした色調やインテリアで統一された店内

内装は1988年まで恵比寿の街にあったヱビスビールの工場をイメージし、赤レンガのカウンターやビール醸造に用いる銅製の釜をモチーフにした、カッパー色の照明・インテリアを施した。ファサードは開放的な入口とし、店内中央にビッグハイテーブルを設置することで、気軽に立ち寄りやすく、かつ賑わいのある空間を演出する。

店内では恵比寿の街とヱビスにまつわる書籍・音楽・アート・カルチャーを定期的に編集し、展示。街の玄関である恵比寿駅をブランドアクション拠点として、街の活性化にもつなげていくという。

10月には新たな数量限定商品も発売

ヱビスブランドならではの資産・物語を活かしながら、新リアル体験接点の展開を推進する一方、コロナ禍を経てデジタルを活用したコミュニケーション施策も本格始動。デジタルプラットフォーム「YEBISU BEER TOWN(ヱビスビアタウン)」では購買とブランド体験の紐付けや独自の価値強化を図り、恵比寿の街の活性化にも貢献することを目指している。

  • 本場ドイツで開催されている世界最大のお祭り「オクトーバーフェスト」の“フェストビア”、「メルツェン」というビアスタイルに、ヱビスならではのこだわりを加えて仕上げた

さらに10月12日より、ドイツ産麦芽を一部使用し、麦の濃厚なうまみと深いコク、ほのかに甘い味わいに仕上げた「ヱビス プレミアムメルツェン」を、10 万ケース(大びん 633ml × 20 本換算)の数量限定で全国発売する。