帝国データバンクは9月22日、上場する食品メーカー主要105社を対象に実施した「価格改定動向調査-家計負担額推計」の結果を発表した。それによると、相次ぐ食品値上げによる家庭負担額は、年平均7万円増と試算されるという。
原材料価格の高騰や急激な円安の進行を受けた食品の「値上げラッシュ」で、家計の負担が大きくなっている。帝国データバンクが9月1日にまとめた、上場主要食品・飲料メーカー105社の今年値上げ済み・値上げ予定の食品累計2万56品目の値上げ率平均と、総務省「家計調査」における二人以上世帯の2020年度消費支出データを基に、食品値上げによる家計支出額の影響について試算した結果、1世帯あたり、1カ月平均5,730円、年間6万8,760円の家計負担額が増加することが判明。年間の消費支出額(平均約333万円)のうち約2%が、食品値上げによって圧迫される可能性がある。
負担額が最も増加したのは「加工食品」で2,560円の増。特に、使用頻度が高い冷凍食品の値上げが家計の支出を圧迫。次いで「酒類・飲料」(1,285円増)、「菓子」(814円増)、「調味料」(524円増)と続き、家計負担額が1,000円に満たないものでも、大きなウェイトを占めた。
年収別でみると、1,075万円以上の高収入世帯では年間8万9,150円の増となり、消費支出額に対する負担割合は1.7%にとどまった。一方、329万円未満の低収入世帯では5万1,423円、同2.3%の負担増に。ただし、両者の月間消費支出額に23万8,900円の差があるのに対し、食品値上げによる家計負担増加額は同3,100円の差にとどまっており、食品値上げによる負担感の実感は、支出に占める食費の割合が高い低収入世帯ほど相対的に強く、大きな影響を及ぼす可能性がある。
こうしたなか、政府は、住民税非課税世帯を対象に5万円を給付する追加対策を決定したほか、9月末に期限を迎えるガソリン補助金の延長、政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦価格を10月以降も据え置くなど、物価高対策を矢継ぎ早に打ち出している。
政府の対策も影響し、10月には年内最多となる6,500品目超の値上げが控える一方で、11月は458品目と、単月としては年内2番目の少なさになる見込みで、値上げの波は秋口をピークに一旦収まる気配をみせている。ただ、今秋の値上げ率は月平均で18%に達するなど、特に低収入世帯や飲食料品支出の割合が高い世帯にとっては負担感の大きい状況が当面続くという。