最近のXperiaシリーズは、キャリア版に加えてソニーが販売するオープンマーケット版も用意されています。体裁としてはiPhoneと同様ですが、Xperiaの場合はキャリア版とオープンソース版で仕様に差をつけているのが特徴です。
最新のハイエンドモデルである「Xperia 1 IV」にもオープンマーケット版が9月16日に登場しましたので、キャリア版との違いを中心にご紹介していきましょう。キャリア版を含む「Xperia 1 IV」の詳細は、キャリア版を試用した際のレビュー記事をご覧ください。
ソニーのフラッグシップモデルのオープンマーケット版
現在、キャリア版もスマートフォンはSIMフリーとなっており、ソニー自身は本製品を「SIMフリーモデル」と表現していますが、ここでは区別のためにオープンマーケット版と表現します。
そのオープンマーケット版「Xperia 1 IV」ですが、キャリア版と同様、21:9の6.5型K HDR対応ディスプレイを搭載したフラッグシップモデルです。大画面ながら細長いボディのため持ちやすさは良好。
背面のトリプルカメラは、35mm判換算焦点距離16mmの超広角、24mmの広角、85~125mmの望遠ズームカメラを搭載。世界初という望遠側のズームレンズを搭載している点が大きな特徴です。
こうした基本的なスペックは、キャリア版とまったく変わりません。強いて言えば、キャリア版のメモリが12GBでストレージが256GBのところ、16GB/512GBに増量されているのが違いとなります。前代のXperia 1 IIIオープンマーケット版は12GG・512GBでしたから、メモリはさらに増えています。重量級のゲームアプリや動画編集で威力を発揮するかもしれません。
デザイン上の違いはありません。本体カラーはブラック、アイスホワイト、パープルの3色が用意されています。ドコモ版はオープンマーケット版と同じ3色、auはパープルを除く2色、ソフトバンクはブラックのみなので、ドコモ以外のキャリアで利用するなら、端末をキャリアで購入せずにオープンマーケット版で別のカラーを検討してもいいでしょう。
自由度の高い5Gネットワーク、ただしミリは非対応
キャリア版との大きな違いとして挙げられるのがネットワークの対応です。まず、キャリア版ではサポートしていたミリ波は非対応となっています。
Xperiaは、伝統的にキャリアごとに携帯通信の対応周波数が異なっています。今回も、Sub6ではドコモ版がn77/n78/n79に対応するものの、au版とソフトバンク版はn79非対応。一方で、au/ソフトバンクが4G転用によって対応していたn28/n3はドコモ版が非対応でした。
それに対してオープンマーケット版では、n3/n28/n41/n77/n78/n79をサポート。こうした対応ネットワークの広さはメリットです。ミリ波非対応は残念ですが、現状ではミリ波を使える場所が広がっていないため、さほど大きなデメリットとは言えなさそうです。個人的にはミリ波を優先しますが、これは個人的嗜好に過ぎないので、5G SAが広がったときに多少ネックになるかもしれないというぐらいでしょう。
便利なnanoSIMとeSIMのデュアルSIMではありますが、今回からキャリア版も同様のデュアルSIMになっているため、ここに差はありません。
対応周波数が広いので、楽天モバイルを含めたどのキャリアでも同様に使えるという点はメリットで、キャリア移転を検討する人にとっては、特に重要なポイントになるでしょう。
シャッター音を消せるカメラ
個人的に大きなメリットなのがシャッター音です。カメラ自体の機能は変わらないのですが、唯一といってもいい違いが、「シャッター音を消す設定がある」という点です。
日本では、キャリアモデルは基本的にカメラのシャッター音を消音にできないような設定になっていますが、これはキャリア側の自主規制に近いので、メーカーが独自に発売する端末では消音することはできなくはありません。
ソニーはXperia PRO-Iのようにオープンマーケット版でこの仕様を採用したようで、Xperia 1 IVでもシャッター音を消すことができます。スマートフォンの設定で消音モードにするか、カメラの設定から消音にすることができます。
Xperia自体はもともとシャッター音は小さく、撮影したかどうかが分かるので個人的には消せなくてもあまり気にはなりません。静かな場所で連写をしすぎると目立ちますが、そこまで連写して撮影するような行為はそもそもが迷惑でしょう。
とはいえ、仕事でスマホによる撮影をする人もいるでしょうし、そうした場合にも消音できると便利な場面はあります。選択できるというのはいいことです。
というわけで、キャリア版とオープンマーケット版、どちらを選ぶかは人それぞれですが、ミリ波非対応を除けば、オープンマーケット版の方が自由度が高いのは確かです。当然、キャリア専用アプリも入っていませんし、必要なアプリは自分で導入するスタイルなので、慣れている人の方が使い勝手はいいでしょう。
2年後に返却する代わりに安価に利用できるキャリアの販売モデルも利用できませんが、必要なら分割払いなどを利用してもいいでしょうし、選択肢が増えたということで、自分に適したのはキャリア版かオープンマーケット版かを見極めて購入するとよさそうです。