2022年は待望の東京ビッグサイト開催!
Maker Faire Tokyo 2022が開催されました。「世にないものは自分で作る」というMakerのお祭りです。筆者は2014年から毎年取材に行っています。
といっても2021年はコロナ禍でオンラインオンリー。実は筆者も出展しようと作品を作ったのですが、ホームページを作らないといけないとかゴタゴタしていて断念。2022年には準備を整えてと思ったら、筆者が作品対象としていたゲームがサービス終了となってしまい、お蔵入りです……。
さて、東京ビッグサイトでの1日目はオープン時から多く来場者が集まっていました。2日目はそれ以上の来場者があったように思えます。今回はなるべく動画を交えてご紹介しましょう(会場内の動画なので音が大きく、再生にはご注意を)。以下、カッコ内のブース番号をもとに、詳しい説明などは公式ページの出展者紹介をぜひご覧になってみてください。
核磁気共鳴画像に荷電粒子加速器……こんなのも自作できるの?
技術力でいうと、核磁気共鳴画像装置を作った「八代」(G-02-02)と、「自宅で粒子加速器を自作する」(G-02-03)が2022年のツートップだと思います。
核磁気共鳴画像装置というと何やらよく分かりませんが、MRIといえば「病院の検査や人間ドックでやったかも?」と思う人もいるでしょう。医療用のMRIは水素の分布を磁界と電波によって画像化する装置で、人体を輪切りにしたような画像データを得られます。
出展された装置は磁界の強さが低く、画像化に時間を要してボケやすい欠点がありますが、なんと8年がかりで完成させています。出展者は「このコイルを巻いたのは3年前です」と語っていました。
そして「自宅で粒子加速器を自作する」(G-02-03)は、静電式電子加速器を自作しました。電子加速器とは、フィラメントなどから発生した荷電粒子を、電位差を用いて加速する装置。今回のような直線的な加速は古典的であり、現在の研究や医療施設では、円筒形のような容器内で何度も加速を行うサイクロトロンやシンクロトロンがでは一般的です。
作者も最初はサイクロトロン型を自作したものの、今回は基本に立ち返り「工作でできる静電式(ウィデレー型線形加速器)」にしたとのこと。パーツをコツコツ集めて作ったということで、がんばれば普通の人でも作れるようですが、セミナーを聞く限り理論の理解をはじめとしてかなり大変そうです。
ちなみに、高エネルギー加速器研究機構と共同で高専の教育プログラムを実施しており、資料を見ると工業高等専門学校(7校)がスタッフリストに入っています。
今回のMaker Faire Tokyo 2022には、小山工業高等専門学校の加速器製作チーム「アテーナ」と、それをサポートする「加速器アウトリーチ AxeLatoon」も出展していました(E-04-01)。今回は設計のみで制作は外部に委託したようですが、今後は完全自作に挑戦するとのことです。
学生メーカーのコンテストを開催、学生向けエリアも
今年は280組の出展社・スポンサーが参加しましたが、特徴的だったのは「Young Maker Challenge 2022」というコンテスト。モノづくりのすそ野を広げるために、学生のMakerを応援する企画です。
Maker Faire Tokyoには以前から美術系の大学や高専生の出展がありましたが、今回は約60組のYoung Makerがまとまったブロックに出展していました。先に紹介した小山高専もこのブロックです。
さまざまなメーカーが展示・デモ・説明
Maker Faire Tokyo 2022には多くのMakerが出展しており、再挑戦やモディファイをしているブースもありました。以下、基本的に私が初めて見るものを中心に紹介しましょう。
オトネタでまさかのネタ被りとなったのが、「カイワモノ」(C-02-03)と「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」(I-05-01)です。どちらもタコ焼き(の模型)と電極付きスティックでサウンドを奏でる楽器をデモしていました。が、2日目にはまさかの合同展示でタコパを行っていました。
しかも、模型による展示ではなく、本当にタコ焼きを焼きながらという文字通りの「タコパ」。ただしコロナ禍の影響もあり、来場者への飲食提供は厳禁でした(出展者の自家消費は問題ないようです)。
そして音ネタとは言いにくいのですが、独特の音をアピールしていたのが「dydt製作所」(I-02-01)。交流モーターは決められた速度以外では性能が落ちるのですが、これを解決したのが可変周波数で回す「インバーター回路」です。特に電車の場合、複数の周波数と電圧で制御するVVVFインバーターを使うのが一般的。