広い範囲で風や雨の影響を及ぼした台風14号。台風に備える方も多いタイミングで投稿された、あるバス停のツイートが話題になりました。投稿者は、バスや鉄道に関する情報を投稿されている井上学さん(@kasobus)です。
台風が来る前、バス停が横倒しになっている様子を見かけたらあなたはどうしますか?
これ、もっと知られるといいかも
台風が近づいてるので前もって倒されたバス停
「大風でバス停が倒れてる」という苦情から、「バス停が倒れてたので直しときました」という善意の悪魔からの電話対応がハンパないとバス事業者さんから伺ったので(@kasobus)
こちらの写真は9月19日に撮影された、京都市・四条河原町のバス停です。道路に沿って倒れたバス停、実ははこれ、風の影響で倒れた訳ではなく、台風が来る前に前もってバス会社が倒していたもの。事前に倒しておけば、強風で倒れて事故につながったり、バス停自体が壊れることなどを防げます。
倒してあるバス停には「台風接近に伴い安全の為バス停を事前に倒しております。」という張り紙が掲示されています。それでも写真のバス停のように元に戻されてしまったり、「バス停が倒れている」「直しておきました」という問い合わせがバス会社に来るそう。井上さんによると、直されたバス停をバス会社の方が再度倒しに行くこともあると言います。
この投稿は7.4万件のいいね、5万件のリツイートと大きな反響が寄せられています(9月23日時点)。知らなかったという声も多く、「なるほど、これは知らなかった こういうこと知っておくべきだな」「車道や歩道の方に倒れたら事故になるし、どこに飛ぶか分からないもんね」と納得するコメントも。
なかには「うちの会社も台風来る度にバス停倒しに行ってるな……善意の悪魔からバンバン電話かかってくるって運行管理者がブーブー言ってるw」と同業者の方から共感の声も寄せられていました。
またバス停はかなり重いもの。「倒れたバス停、わざと倒そうが倒れてしまっていようが元に戻そうとしないでね。万が一重石で足を挟むと骨が砕けるよ」という声もあるように、直そうとしてさらにトラブルが起きてしまうかもしれません。
バス停が倒れている様子を見て、善意から思わず直したくなるかもしれませんが、安全のためにわざと倒しているということは知っておきたいものです。
今回投稿した井上さんは、大学で地理学やまちづくりの授業を担当しており、自治体や交通事業者の方と公共交通に関する仕事をされています。倒されたバス停の件も、事業者の方から聞いたことだそう。今回の投稿に関して、井上さんにお話を伺いました。
投稿者に聞いてみた
――台風前に倒されたバス停について「理由を知らなかった」という声も多く寄せられています。井上さんは元々ご存じだったのでしょうか?
昔から、台風が近づくとバス停が倒されているのを見ていたので知っていました。
私自身、バス会社さんとは利用促進や交通会議、研究等でご一緒することが多く、バス事業者さんが苦労されているお話を伺う機会があります。その中で、台風が接近する時は、強風で倒れる前に安全対策としてバス停を倒していること、また限られた人員と時間の中で迅速かつ、道路通行上の安全を確保しながら作業されているというお話を聞きました。
――今回、ツイートを投稿したきっかけは?
今回、外出時に台風接近に備えて倒されたバス停を見かけたので、多くの方々に知ってほしいと思ったことがきっかけです。
安全対策でバス停を倒している旨の注意書きを貼っていても、「バス停が倒れている」「バス停が倒れていたので直しておきました」といった電話が多く、直されたバス停を再度倒しに行ったりと、バス停をあらかじめ倒しておくことはなかなか知られていないようです。
多くの方々が御懸念されますが、”台風接近にともないバス停を倒している”旨、掲示されているのでご安心ください
— Manabu INOUE (@kasobus) September 19, 2022
でも、貼り紙しているのに元に戻されているバス停もあるからバス会社さんは大変なのです
どうか、バス停をあらかじめ倒しておく習慣、認知が広がると嬉しく思います pic.twitter.com/9CB3Alm2E4
――今回のご投稿、多くのリプライや引用リツイートも寄せられています。
多くの方々に知っていただき、嬉しく思います。あらかじめバス停を倒している場合、多くのバス会社では一緒に倒している旨の注意書きを掲示しています。今回のツイートのバス停にも貼られています。
バス停を倒さずに近くの電柱などにくくりつける場合もありますが、何かのはずみで倒れる可能性がある以上、倒しておく方がより安全と考えられます。台風が通過するまで、バスの運行経路上で災害が起きないか社員さんは会社で待機され、通過後はバス停を直すとともに、全路線の安全確認やバス停の屋根や待合室に破損がないかなども調べます。安全が確認されて、ようやく元の運行に戻せます。このように、バス会社は安心・安全に最も気を使って日々運行しています。
――乗客が安心して利用できるよう、様々なところに細心の注意を払っているのですね。
そうですね。ほかにも車内での転倒事故防止のため、バスを降りる際にはバスの扉が開くまでその場で待って、扉が開いてから降りることも広まると、とても嬉しく思います。
まだまだ台風シーズンは続きます。台風が来る前にあらかじめ倒してあるバス停を見かけた際は、「安全のために倒してあるのか」とそのままにしておきましょう。
これ、もっと知られるといいかも
— Manabu INOUE (@kasobus) September 19, 2022
台風が近づいてるので前もって倒されたバス停
「大風でバス停が倒れてる」という苦情から、「バス停が倒れてたので直しときました」という善意の悪魔からの電話対応がハンパないとバス事業者さんから伺ったので pic.twitter.com/oGgZs8xqg3