JR九州の在来線特急「かもめ」が22日深夜、下り「かもめ45号」をもってラストランを迎えた。長崎駅では市民や鉄道ファンらが集まり、JR九州長崎支社の社員手作りという手旗を持ち、ラストラン列車の出迎え・見送りを行った。
「かもめ」は戦前の客車列車「鷗」から受け継がれてきた歴史ある列車名。1961(昭和36)年から関西と九州を結ぶ気動車特急(当初は京都~長崎・宮崎間で運行)の列車名となり、1975(昭和50)年の山陽新幹線博多開業で廃止された後、1976(昭和51)年の長崎本線・佐世保線電化に合わせ、485系を使用する電車特急として復活した。以来、「かもめ」は博多~長崎間を結ぶ特急列車として定着。国鉄時代の485系から、JR九州発足後の783系・787系・885系まで、各時代を代表する特急形電車で活躍を続けてきた。
9月23日に開業する西九州新幹線の列車名が「かもめ」に決定したため、約60年(気動車列車の時代も含む)にわたり親しまれた在来線の特急「かもめ」は9月22日をもって運行終了することとなった。ラストラン当日の長崎本線では、肥前鹿島~長崎間を中心に多くの鉄道ファンらが集まる一方、列車に手を振って見送る地元の園児たちや沿線住民の姿も。特急「かもめ」への「ありがとう」「感謝」のメッセージも見られた。
ラストラン列車となる下り「かもめ45号」は885系を使用。運転時刻は博多駅22時10分発・長崎駅0時0分着だが、この日は定刻より遅れての到着となった。
長崎駅の在来線ホームでは、「かもめ45号」の到着を前に、JR九州の社員から「ありがとう 特急かもめ 2022.9.22 Last run」と記した手旗が配布された。多くの人が手旗を振って出迎える中、「かもめ45号」が3番のりばに到着すると、発車案内板に「今までありがとう! 特急『かもめ』」「これからよろしく! 西九州新幹線『かもめ』」との表示も。「かもめ45号」から降りてくる人も多かったため、一時的にホームが混雑したが、大きなトラブル等はなかった様子だった。「かもめ45号」は長崎駅到着後、回送列車となり、0時30分すぎに発車。博多方面へ折り返して行った。