映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』(9月23日公開)で初共演を果たした香取慎吾と岸井ゆきのにインタビュー。本作でケンカを繰り広げる夫婦役を演じ、思っていることをちゃんと言葉にする大切さを感じたという2人に、人とのコミュニケーションで心がけていることを聞いた。

  • 映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』で夫婦役を演じた香取慎吾(左)と岸井ゆきの 撮影:蔦野裕

市井昌秀監督が脚本も手掛けた本作は、表向きは仲良し夫婦という田村裕次郎(香取慎吾)と日和(岸井ゆきの)のゆずらないバトルをコミカルに描いたブラックコメディ。裕次郎は、平凡で情けないダメな夫。そんな夫にイライラする日和は、SNSの「旦那デスノート」に愚痴をぶちまけるように。そしてある日、裕次郎もその存在を知ってしまい、引くに引けない夫婦ゲンカに発展していく。

――裕次郎と日和を演じ、夫婦にとって大切なことについてどう考えましたか?

香取:声に出して言葉にすることが大切だなと思いました。言わなくてもわかることもあるかもしれないけど、言わなきゃわからないこともあるんだなって。

岸井:私は結婚して、2人のようになったら嫌だなって。ちゃんと話し合わなきゃいけないなと思いました。それって頭ではみんなわかっているけどなかなかできない。ずっと言われてきたことが一番大事なんだなと思いました。

――話し合う大切さを痛感する作品ですが、お二人が人とのコミュニケーションにおいて大切にしていることを教えてください。

岸井:無理をしない。そうしていると、同じように無理をしなくて大丈夫な人しか周りにいなくなる。友達は少ないですが、その一人ひとりとちゃんと向き合え、“狭く深く”を体現しているような感じです。わかっていると思っていた友人のことも、まだまだ知らないことがいっぱいあるなって最近感じたことがありました。1人の人を深く知っていくことはすごく楽しいです。お互い無理をしないから、言いたくなかったら言わないし、聞かれたくないだろうなと思ったら聞かないし。思いやりを持ってその人を理解することを大事にしていると思います。

香取:愛していますね、みんなのことを。愛を持って接するようにしています。けっこう本気なんですよ! ステージでもファンの皆さんに「アイシテマース」ってよく叫ぶんですけど、一人ひとりを愛しています。スタッフも友達も家族も。

――いつ頃から愛を意識するようになったのでしょうか。

香取:僕がステージで「アイシテマース」って言うようになったのは、海外のアーティストが「ジャパン、アイシテマース」って言う真似から始まっていて、だからハッシュタグで書くときもいつもカタカナで書いているんです。最初はドームとかでふざけて「アイシテマース」って言っていて、恥ずかしがりながらでしたが、それを堂々と言えるようになってから本当に愛せるようになってきたのだと思います。

――岸井さんは、香取さんと接しているときに愛を感じましたか?

岸井:愛、感じますよ! だからかって思いました。ずっと香取慎吾さんでいられるのは愛があるからだってわかりました。

――今回の夫婦役はバトルを繰り広げる役でしたので、その“愛”にブレーキをかけられたりしたのでしょうか?

香取:(今回の日和のことも)好きになるけど、普通のラブストーリーとは違うかもしれません。恋愛モノとかだとその期間、愛しますけど、今回の2人はちょっと違いますから。好きなのに言葉がないからこんな状態になってしまって、そこから進展がある2人なので、映画のまんまという感じです。

  • (C)2022“犬も食わねどチャーリーは笑う”FILM PARTNERS

■香取慎吾
1977年1月31日生まれ、神奈川県出身。1991年にCDデビューし、『NHK紅白歌合戦』に23回出場。2017年9月に稲垣吾郎、草なぎ剛と「新しい地図」を立ち上げた。近年の主な出演作は、ドラマ『家族ノカタチ』(16/TBS)、『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』(21/テレビ東京)、『クソ野郎と美しき世界』(18)、『凪待ち』(19)など。また、スタイリスト・祐真朋樹氏と共にショップ「JANTJE_ONTEMBAAR」を展開。ルーヴル美術館で個展を開くなど、多岐にわたって活躍。NHK Eテレ『ワルイコあつまれ』、bayfm『ShinTsuyo POWER SPLASH』、ABEMA『7.2新しい別の窓』にレギュラー出演中。
■岸井ゆきの
1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。2009年女優デビュー。2017年に『おじいちゃん、死んじゃったって。』で映画初主演を務める。2019年『愛がなんだ』で、第11回TAMA映画祭最優秀新進女優賞ならびに第43回日本アカデミー賞新人賞を獲得。そのほか近年の主な出演作は、映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』(21)、『やがて海へと届く』(22)、『神は見返りを求める』(22)、ドラマ『#家族募集します』(21/TBS)、『恋せぬふたり』(22/NHK)、『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』(22/日本テレビ)、『拾われた男』(ディズニープラス/NHK)など。