通信・通話に必要な情報をスマートフォン内部のICに記録、SIMカード相当の機能を実現する「eSIM(イー・シム)」が急速に普及しています。AppleはiPhone 14シリーズの米国向けについてSIMカードを廃止、SIMトレイのないeSIM専用端末としたほどです。日本向けは従来どおり物理SIMとeSIMの両対応ですが、将来は米国と同じ方向へ進む可能性大です。

eSIMの扱いも改善されています。これまでiPhoneに登録したeSIMを他の端末(IMEIが異なる端末)で使おうとすると、キャリア店舗/オンラインショップで機種変更手続きが必要でしたが、iOS 16の新機能「eSIMクイック転送」を利用すれば、手もとでeSIMの移行手続きを完結できます。オンラインでの手続きすら不要、キャリアに支払う手数料も発生せず、SIMカードを端末から端末へと移動させるより手間がかかりません。

この「eSIMクイック転送」は、設定済のeSIMをほかの端末へ移す(eSIM→eSIM)だけでなく、SIMカードの情報をほかの端末へeSIMとして移すこと(物理SIM→eSIM)も可能です。iPhoneで使っているeSIMを新しいiPhoneで使う近道であるだけでなく、物理SIMをeSIM化するツールでもあるのです。

ただし、9月20日時点でeSIMクイック転送をサポートするモデルはiPhone XS/XS Max/XR以降、対応するキャリアもKDDI(UQ mobileとpovo 1.0/2.0を含む)と楽天モバイルに限定されます。すべてのiPhoneユーザが恩恵を受ける機能ではありませんが、利用条件を満たすのならeSIMの扱いは格段にラクになりますよ。

  • 利用条件を満たせば「eSIMクイック転送」でかんたんにeSIMを引っ越しできます