aiwa(アイワ)という家電ブランドを知っていますか? 「懐かしい」と思った方もいれば、聞いたこともない、という人もいるでしょう。aiwaは日本の家電メーカーで、ソニーの傘下になったあと2008年に一度市場から撤退しています。そのaiwaのブランドを付けたスマートフォン「JA2-SMP0601」がJENESISによって復活し、aiwaデジタル製品シリーズとしてタブレットなどと共に発売になりました。
aiwaデジタル製品シリーズを手掛けるJENESISは中国・深センでIT製品を中心に様々なデバイスの開発、製造を行っているメーカーです。相手先ブランドの製品も多数開発しており、たとえば携帯翻訳機の「ポケトーク」は一部のモデルからJENESISが製造を行っています。そのJENESISがaiwaブランドのライセンスを受け、自社で開発した製品を今後aiwaデジタル製品シリーズとして販売していきます。
aiwaは過去にオーディオ製品も多数展開していました。しかし今回復活したaiwaのスマートフォン「JA2-SMP0601」は音楽性能を高めたモデルではなく、1万円台というコストパフォーマンスを追求した製品になっています。スマートフォン入門機であり、ゲームや動画はほとんど使わないといったライトユーザーをターゲットにしているようです。それはイメージキャラクターに役者の石橋凌氏を起用したことからもわかります。価格を抑えたのもガラケーユーザーのスマートフォンへの乗り換えのハードルを低くするためかもしれません。
JA2-SMP0601のチップセットはUNISOCのT310を採用し、メモリーは2GB、ストレージは32GBというエントリーレベルの製品です。ディスプレイは6.5インチの液晶で720×1,600ピクセル、フロントカメラは水滴型のノッチスタイルで800万画素。背面のメインカメラは1,300万画素で、200万画素のマクロカメラも搭載しています。指紋認証センサーは無くバッテリーは4,000mAh。IP52の防水に対応しますが、おサイフ機能はありません。
実際に使ってみるとコストを抑えて作られたコスパ重視の製品であることがわかります。全体的な動作はエントリー向けのチップセットを搭載しているため正直なところやや緩慢でした。通信は4Gに対応しており、VoLTEはドコモとソフトバンクに対応します。通話機能を主に使いつつ、SNSは友人とのメッセージ用途、といった軽い作業に向いていると感じました。あるいはすでに持っているスマートフォンに加えてもう1台、仕事の連絡用に使うという用途もありかもしれません。
カメラも基本的には1,300万画素のメインを使って撮影するという割り切った設計です。色合いなどは最近のスマートフォンと比較すると甘い部分があるため、記録やメモ用途と割り切ってしまったほうがいいかもしれません。
以下、いくつか標準モードでの撮影作例です。
aiwaデジタル製品シリーズは他にタブレット4機種とスマートウォッチ1機種も発表されています。その中からスマートウォッチも簡単に紹介します。「JA2-SMW0001」は1.85インチ240x280ピクセルの四角いディスプレイを搭載。IP67の防水防塵に対応しているので水回りでの使用も安心です。バッテリーは200mAhで普通に使う分には1.5日程度使用できるとのこと。質量は57gと軽量です。
このスマートウォッチも価格が最大のセールスポイントで、公式サイトのキャンペーン価格は5,800円。主な機能は運動量を記録する活動量計で、心拍数と血中酸素濃度の測定にも対応。BluetoothでiOSまたはAndroidスマートフォンと接続可能で、スマートフォンの通話にも対応します。
aiwaデジタル製品シリーズの製品はiPhoneなどハイエンド、ハイスペックなデバイスとは対極の存在にある製品と感じました。スマートフォンやタブレット、スマートウォッチに多くの機能を求めるのではなく、必要最小限の機能でいいから価格を重視したいというユーザー層にマッチする製品と言えます。子供の1台目に与えるよりも、年配の方でガラケーからスマートフォンに乗り換えたい方や、かなり古いスマートフォンを使っている方の買い替えなどに向いていると思われます。
今回は第一弾の製品のためコスパを重視したモデルが投入されましたが、今後は音響の追求、生活空間への融和、そしてオープンイノベーションという3つの戦略で製品開発を行っていくとのこと。往年のaiwaオーディオ製品を復活させる、音楽機能を重視したスマートフォンも今後出てくるかもしれません。日本の新しいスマートフォンブランドとして、aiwaデジタル製品シリーズの今後に期待したいと思います。