この調査の結果、主に2つの結果を得ることができたとする。1つ目は、負の所得-能力ギャップを認識した人は、米国社会では多くの人が自分の能力以下の収入しか得られていないと考えるようになることが明らかにされた点だという。つまり、多くの人が、負の所得-能力ギャップを自分の能力の低さではなく、経済の不公正さによるものと考えているということを意味するという。

2つ目は、負の所得-能力ギャップは経済の不公平さに対する見方には影響を及ぼすものの、所得格差是正への支持、および政府介入への支持には結びつかないということが示されたという点。この結果は、世界が自分の考えているようなものではないことがわかっても、必ずしも平等への選好に影響を与えないことが示されているとする。

また、政治イデオロギーや政治信頼などの政治的態度が結果に影響を与えた可能性についての検証も行われたところ、中道派と右派の人々は、負の所得-能力ギャップを認識しても不平等是正への支持にはつながらないという、全体の傾向と同じであったというが、左派層では、統計的に有意ではないが、負の所得-能力ギャップの認識が不平等是正への支持を高めるという示唆的なエビデンスが得られたとする。ただし、左派の人々でも政府介入への支持は高まりはなく、政治的信頼度による違いは見出されなかったともしている。

なお、今回の調査は米国で行われたものであるが、ほかの国でも自信過剰は一般的な傾向のため、同様の結果が得られると考えられる研究チームでは説明している。しかし、経済が公平かどうかの見方は国によって異なるため、今後はほかの国でも同様の結果が得られるかどうか検証する必要があると研究チームでは指摘している。