Microsoftは日本時間9月21日午前2時(米国太平洋夏時間9月20日午前10時)、「Windows 11 2022 Update」ことWindows 11 バージョン22H2をリリースした。

Windows&デバイス担当上級副社長 兼 最高製品責任者のPanos Panay氏は公式ブログにて、以下のように語っている。

「本日、Windows 11 2022 Updateを190カ国以上で提供開始した。ここ数年は私たちの生活や仕事、学習のあり方に永続的な変化がもたらされ、PCは日常生活においてより重要な役割を果たしている。(中略)より柔軟な仕事と生活への急速な移行は、個人と企業のセキュリティ脅威を劇的に増加させ、毎秒921件のパスワード攻撃を受けている」

そして、Windows 11 バージョン22H2は、4つの領域で変革を起こしているという。まずはそのまま引用しよう。

  • すべての人にとってPCをより使いやすく、より安全にする
  • より生産的な使い方を可能にする
  • Windowsを最高の場所にするためのコネクト・クリエイト・プレイ(接続、創造、ゲーム)
  • PCをより使いやすく、より安全にするためセキュリティ・管理・柔軟性を提供する

今回、Microsoftは事前に、バージョン22H2の情報を提供する限定サイトを報道向けに用意した。以下の情報は限定サイトの内容かつグローバル向けのため、国内では動作しない機能も含まれる。たとえば新しいアクセシビリティー機能であるライブキャプション機能は、字幕作成に加えてPC操作や文章作成にも使用可能。合わせて新しい音声エンジンも加わる予定だが、利用できるのは米国のみだ。

  • Windows 11のライブキャプション機能

おそらく国内でも利用できると思われるのが、エクスプローラーのタブ機能だ。DevチャネルのWindows 11 Insider Previewに限定していたこの機能を、バージョン22H2にバックポートさせている。

Microsoft Edgeと同じくタブを並べ替えて操作性を向上させ、クイックアクセス改めホームは使用頻度の高いファイルやフォルダーのピン留め、OneDrive/OneDrive for Businessの操作性を向上させた。このあたりは使い込まないと評価できないものの、バージョン21H2から大きく進化したポイントのひとつだろう。なお、Panay氏のブログには「10月に提供」との注意書きがあるので、今回のアップデートに含まれない可能性がある。

  • バージョン22H2のエクスプローラー。待望のタブ機能を搭載している

  • スタートメニューは「さらにピン留めを表示する」「さらにおすすめを表示する」の選択肢が加わる

設定周りでは「Bluetoothとデバイス/カメラ」に新機能が加わる。Microsoftは「ビデオ通話はWindows 11を使用する上で欠かせないタスク」(Panay氏)と前置きしながら、「新しいWindows Studioのカメラとオーディオエフェクトは、Voice Focusingでバックグラウンドノイズの除去、Automatic framingで話者の動きに合わせたカメラの追従し、高度なAIによって電話会議で最高の音質と見た目を実現」する。

ただし、ハードウェア(周辺機器)に依存するという。この機能はWindows 11 Insider Previewにも未提供のため詳細は不明だが、Microsoft Teamsで培った技術をWindows 11に持ち込んだのだろう。

  • Windows Studioの効果

  • 同種の設定はMicrosoft Teamsでも利用できる。ただしアイコンから察する限り、図のTeamsは企業および学校用だ

ゲーム関連の機能も気になるところだ。こちらもPanay氏の発言を引用する形で紹介する。

「パフォーマンスの最適化で待ち時間を改善し、Auto HDRやVRR(可変リフレッシュレート)など各機能のロックを解除する。また、組み込まれたGame PassとXboxアプリを通じて、何百もの高品質なPCゲームにアクセスできる。Microsoft Storeをさらに作り替え、Amazon Appstore Previewの国際市場拡大と、2万以上のAndroidアプリとゲームを提供する」

いずれも対応するディスプレイや、WSA(Windows Subsystem for Android)対応PCが必要になるが、PCゲーマーにとっては関心事のひとつだろう。

  • 「Controller Bar」と題した画像ファイルをトリミングした。PCゲームタイトルに加えてGame Pass、Steamのアイコンが確認できる

  • Auto HDRの効果。ぜひ画像を拡大して違いを比べてほしい

4つの領域に含まれるビジネス向けセキュリティ機能は割愛するが、最後に提供形態を紹介しておく。Windows 10時代と同様にWindows Updateで段階的に展開し、デバイスに問題のあるアプリが含まれていた場合はセーフガードホールドを適用。問題が解決するまでバージョン22H2のアップデートを提供しない。なお、システム要件を満たしているPCでWindows 10を使用している場合は、同じアップデートが提供されるそうだ。

  • Windows 10向けバージョン22H2アップデート

  • アプリの起動を制御するSmart App Control。ただし、クリーンインストールが必要

駆け足だったが、以上がバージョン22H2の概要である。インストールに取りかかっている読者諸氏もいると思うが、筆者もオンライン取材の裏でバージョン22H2アップデートをダウンロードし、新機能や不具合を楽しみたいと思う。