俳優の上川隆也が、9月22日スタートの読売テレビ・日本テレビ系 プラチナイト木曜ドラマ『さよならの向う側』(全4話、毎週木曜23:59~)で主演を務める。
清水晴木氏による同名小説を映像化した同作。上川演じる“案内人”が、現世とあの世の狭間“さよならの向う側”で、思いがけず訪れた死に戸惑う人々を迎え、彼らの“最後の24時間”に寄り添う姿が描かれる。
上川は同作、そして“案内人”という役どころとどのように向き合ったのか。「後悔」との付き合い方についても話を聞いた。
■これまでにない時間を過ごせました
――最初に今作の企画を聞いたときの感想をお聞かせください。
いわゆる“死に別れ”を題材にした物語や、夢枕的な物語はこれまでもたくさんあったと思いますが、この物語はそうしたものの中に優しさみたいなものを感じました。誰の意志かも、選出方法も分からないまま、でも誰かには訪れるかもしれない措置というのでしょうか。猶予が許されることになるのですが、「許される」という語感が優しく受け止められて。
そんな風にして、限られた時間、空間ではあるかもしれないけれど、誰もが“こいねがう”ものになりうるかもしれない、その猶予が許容されている世界というのは、僕には魅力的といいますか、あたたかく感じられました。
――上川さんが演じられた“案内人”という役については、いかがでしょうか? 物語の後半には、彼自身にまつわるエピソードも明かされますが、非常に奥深いキャラクターだという印象を受けました。
僕自身が当初、脚本の文面から抱いていたイメージを、深川(栄洋)監督はもう一歩踏み込んで造形なさっていて。なので、その演出プランはある種、僕が12色しか入っていない絵の具箱で描こうとしていたものに、深川監督が3色から5色と色を足してくださったような、そんな思いで受け止めました。だからこそ、彼を描くに当たって、“なるほど、ここにこんな色が置けるのか”というような、僕自身の想像していなかった色味で描けたのが、とても刺激になりましたし、これまでにない時間を過ごせました。
――「色」というのは、案内人の性格や思考といった部分でしょうか?
そう捉えていただいて、間違いないと思います。多分僕が持っている色を混ぜたとしても出せなかったような色でしたので、純粋に新鮮でしたし、僕自身にとっての収穫もありました。
実は、撮影は2週間ほどだったんです。とても短い時間だったのですが、案内人という“人間”の一生をきちんと目の当たりにできたようにすら思うような、実のある時間でした。約2週間足らずの時間で、(ドラマで描かれる)4つの人生を見て、その中にさらに自分の人生を加えて……今回演じたのがそれを見届ける立場であったからこそ、“見足りない”という思いに駆られることがなかったのが、今改めて思い返しながら、ちょっと驚いている部分でもあり、一つひとつきちんと目の当たりにできた、という充足感に近いものすら感じています。