米Mozillaは、9月20日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 105」をリリースした。Firefox 104から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 104では、2022年8月30日にマイナーバージョンアップの104.0.1、2022年9月5日には104.0.2がリリースされている。104.0.1では、以下の修正が行われた。

  • 一部のユーザーに影響を与えていたYoutubeビデオの再生に関する問題を修正

104.0.2では、以下の修正が行われた。

  • タッチまたはスタイラスの使用で、ページのスクロールバーをドラッグできなくなる問題の修正
  • 一部のユーザーにおいて、メモリ不足でクラッシュする問題を修正
  • クロスオリジンiframeのsrc属性を介してビデオやオーディオがロードされたときに、再生に影響を与えることがあった問題の修正
  • Content-Security-Policy: sandboxで提供されたビデオやオーディオの再生に影響することがある問題の修正

いずれのマイナーバージョンアップでも。セキュリティアップデートは行われなかった。したがって、今回は、104.0.2からのアップデートとなる。

Firefox 105のインストール

すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。

  • 「Firefox 105」を試す - 印刷オプションやスワイプ操作などで新機能が追加

    図1 Firefox 105へのアップデート

アップデート後のFirefox 105は、図2のようになる。

  • 図2 バージョン105にアップデート直後のFirefox

新規に、Firefox 105をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。

  • 図3 Firefoxのダウンロードページ

[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。

  • 図4 Firefox 105のインストール

画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。

Firefox 105の新機能

続いて、新機能であるが、以下のとおりである。

  • 印刷プレビューダイアログから現在のページのみを印刷するオプションが追加
  • サードパーティのコンテキストで分割されたサーバーワーカーをサポート。結果、サーバーワーカーをサードパーティのiframeに登録すると、最上位ドメインの下に分割される
  • Windows版:スワイプによるナビゲート(タッチパッドの2本の指で左右にスワイプして、履歴の進む・戻るの実行)が有効に
  • User Timing L3仕様に準拠。これにより、performance.markおよびperformance.measureメソッドにオプションの引数が追加され、開始時間、終了時間、期間、および添付された詳細が指定可能に
  • 個々のアイテムの大きなリストでの検索が2倍高速に。このパフォーマンス改善により、array.includesとarray.indexOfが最適化されたSIMDバージョンに置換された

印刷プレビューダイアログからのオプション追加は、以下のようになる。

  • 図5 印刷プレビューダイアログから[現在のページ]を選択

また、変更点は以下のとおり。

  • Windows版:メモリ不足となってもより適切に処理することにより、安定性が大幅に向上
  • macOS版:タッチパッドのスクロールで、動かしたいスクロール軸に対して逆にある意図しない斜めのスクロールを低減することで、よりアクセスしやすく
  • Linux版:メモリ不足になる可能性が低いと判断された場合、実際にメモリが少なくなったときにシステムのほかの部分をよりも効率的に実行する

今回のアップデートでは、地道な機能面での改善が行われたという感じである。

セキュリティアップデート

同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベース で7件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が3件、4段階で上から3番目の「Moderate」が2件、もっとも低い「Low」が2件となっている。 「High」では、

  • 一時ページにおけるFeaturePolicy制限の迂回
  • スレッドで非UTF-8 URLを解析する際のデータ競合
  • Firefox 105、Firefox ESR 102.3で修正されたメモリ安全性の問題

などが対応された。最高レベルの「Critical」はないが、早めのアップデートをすべきであろう。