「東京ゲームショウ2022」(TGS2022)の開催に合わせて、バーチャル会場「TOKYO GAMESHOW VR 2022」(TGSVR2022)が公開されました。VR会場は2021年にも公開されていますが、よりパワーアップして登場。自宅にいながら新作ゲーム情報に触れることができました。

リアル会場の雰囲気とVR会場は別ものですが、幕張メッセに足を運ぶのが難しい遠方居住者にとって、自宅からゲームショウを体験できることはうれしいところでしょう。筆者はTGS会期の初日に幕張メッセの会場で取材していましたが、ビジネスデイでも混む、スケジュールが合わない、暑い、となかなか大変でした。

TGSVR2022は、VR版と通常PC版があり、PC版は数年前のノートパソコンでも動作するスペックです。推奨環境はWindows 10(11は動作確認はしているものの動作保証なし)、Core i5-8250U以上、メモリ8GB、グラフィックはIntel UHD Graphics 620以上、ストレージ10GBです。

  • 昨年に引き続き、オンラインでTGSを体感できるVR会場が設置されました。今年はスマートフォンからアクセスできる会場がなくなり、Meta Quest 2のスタンドアローン版以外はWindows 10パソコンが必要です

初期設定を終えて、バーチャル空間に入ると、まず「コア」と呼ばれる場所に出ます。「ここから冒険がはじまる」感に溢れておりワクワクと期待が高まります。コアからは、Desert、Forest、Quartzの3つのエリアに移動可能。それぞれに展示ブースが用意されていました。

なお、去年は操作するアバターがロボットのみでしたが、今年は自分で色々選べます。用意されているクエストをクリアすると、報酬として装備できる衣装が増えます。

  • コアに入ったところ。ワクワク感が高まります

  • 画像は始めたばかりなので白いシャツですが、途中でクエスト報酬として衣装が増えます。自分の画像は直接見ることができませんが、カメラで「自撮り」可能

  • TGSVR2022の会場マップはこのような感じです

  • Desertは砂漠地帯。コーエーテクモゲームスとカプコムのほか、コジマプロダクション、マジック・ザ・ギャザリング、Gugenka、CharacterBank、VARKの7つの展示があります

  • Forest Areaは森林をテーマとしており、セガ/アトラスとバンダイナムコエンターテインメント、環境省、イマクリエイトの展示がありました。また、ラルフローレンとUCCのスポンサー展示があります(ZONeエナジーだけすべてのエリアに設置)

  • Quartzは水晶がテーマ。KONAMIとスクウェア・エニックスのほか、ポールトゥウィン、サビオス、Metaani、DYSCHRONIA: Chronos Alternate、カバーの展示があります

地下のダンジョンに眠るのは「ゲームの歴史」

今年のVR会場は、各ゲームメーカーの最新作情報のほかに、幕張メッセの地下に過去のゲームが地層となって埋まっている「ダンジョン」が用意されていました。ファミ通とのコラボで各年のファミ通の表紙画像やゲームにまつわるクイズなどがあり、楽しくゲームの歴史を学ぶ教材仕立てのコンテンツです。

ちなみに、TGS2022のリアル会場には、家庭用向けのゲーム筐体を展示しているブースがあり、そこでは、世界初のビデオゲームと称される『PONG』が展示されていました。

筆者は「ゲーセンで『PONG』を遊んだことのある世代」ですが、今の人にはどううつるのかとブースの方に尋ねたところ「懐かしさだけでなく、デザイン性が評価されていると思う」とのこと。温故知新は、ゲームの世界でも成り立つのでしょう。

  • 今回のスペシャルコンテンツは過去からのゲームの地層を探検するダンジョン。ファミコン通信から始まるゲーム系週刊誌ファミ通の表紙と説明でゲームの歴史をさかのぼります

  • 地層の一番上にあるのは最新ゲーム。ということで『スプラトゥーン3』の表紙

  • 2015~2019年。表紙の横に解説パネルがあり、博物館的な作りになっていますが……

  • 途中に2択クイズがあります。YesとNoの扉をくぐって回答します

  • 2010~2014年。個人的には「このころはあまりゲームやってなかったなぁ」と振り返り

  • クイズはけっこう難しかったです。マイクロソフトから発売されたデバイス「Kinect」は、特殊カメラで全身を取り込むタイプ……答えは「No!」

  • 地層の下のほうは、説明ロボットの外見が変わります

  • 1986~1990年。当時はファミコン通信という雑誌名で、創刊は1986年6月。任天堂のファミリーコンピュータは1983年に発売され、1986年はドラゴンクエストが発売された年でもあります

  • 地層を掘っていたのはこのモグラ達。「VR元年の層がいくつもある」というブラックジョークも(2016年あたりから毎年言われてました)

  • ファミコン世代に合わせ、下に行くとロボットもドット絵風に

  • 謎を全部解いて最下層に行くと何かあったようですが、残念! 解けませんでした。帰りはエレベーターが用意されています

VRならではの演出も! 各社の出展ブースを紹介

ブースの展示は各社とも趣向を凝らした内容ですが、特筆するならばKONAMIの遊戯王の演出が最高でした。おなじみのブラック・マジシャンやブルーアイズホワイトドラゴン等がカードから召喚される画像はド派手! 見ていてかなり楽しめます。

  • COVERのブースでは、ホロライブのメンバーが出演するホラーゲーム「hololive ERROR」を展示。なぜか中央のときのそらだけが3Dであとはパネルでした

  • 環境省は昨年同様にマインクラフト風味のブースに省エネに関するパネル展示をしていました。あとで見たら雲までマイクラ風味です

  • Gugenkaブースでは、戦場のフーガの超巨大戦車タラニスをドーンと展示

  • カプコムブースには、歴代「ストリートファイター」のアートワークと最新作のプロモーションムービーがありました

  • コーエーテクモブースは、25周年の「アトリエシリーズ」の展示。中央にいるのは最新作のライザ

  • スクウェア・エニックスブースには、『FINAL FANTASY VII』クラウドのバイク「ハーディ=デイトナ」

  • また、スクウェア・エニックスには、天野喜孝氏が描いた『FINAL FANTASY XI』の屏風も。この屏風レプリカは三桁万円だそうです

  • 『DYSCHRONIA: Chronos Alternate』のブースは巨大リリィちゃんがお出迎え

  • カプコンブースは『エクゾプライマル』の恐竜。この手の展示は、リアルであってもなかなかいい角度で撮れなかったり、人が映り込んだりしがちですが、TGSVR2022なら自由に撮影できます

  • セガ/アトラスブースには、ソニック・ザ・ヘッジホッグの姿がありました。マリオのコイン音とソニックのリング音は耳に焼き付いています

  • 個人的に一番よかったのは、KONAMIブースの遊戯王。ブラック・マジシャンやブルーアイズホワイトドラゴンがカードから召喚されるアクションは、ファン的に最高でしょう。Twitterで動画を撮影して投稿している人もいたほどです

  • クエストは、おおむね該当ムービーを見たり、該当コンテンツを写真に撮ることで得られますが、なぜかこんなものも

去年も惜しいと思ったのですが、TGSVR2022は会期に合わせて9月18日までの公開。19日になったら利用できなくなりました。かなりの作りこみを見せているので1~2カ月ぐらい公開してほしいところです。

  • TGSVR2022を起動しっぱなしにして寝てしまい、起きたら終了画面になっていました。これだけ作りこまれたコンテンツなので、もう少し長めに公開してほしいなぁと思います

ボートレース振興団体がTGSVR2022のスポンサーに?

TGSVR2022はスポンサー展示もありました。そのスポンサーの中でも別格に大きなスペースを用意していたのが「VIRTUAL BOAT RIDE PARK」。スポンサーは一般財団法人BOAT RACE振興会です。

ほかのスポンサーブースが企業展示の一角に用意されているのに対し、「VIRTUAL BOAT RIDE PARK」は専用空間を用意。全国24のボートレース場に続く25番目のボートレース場という設定で、「6艇がコースを三周するレース」を体験できます。

VRでボートレース? と思う人もいるかもしれませんが、現在、全国19のボートレース会場と東京タワーフットタウンに「BOATRACE VR スプラッシュバトル」というVRボートレースを体験できる設備が導入されています。

「BOATRACE VR スプラッシュバトル」は、VRアトラクションとしてみた場合、画面こそコミカルですが、かなりリアル方向に振った内容です。今回の「VIRTUAL BOAT RIDE PARK」は体感シアター風の作りで全く違いますし、「BOATRACE VR スプラッシュバトル」の宣伝要素は一切入ってません。

それでも「VIRTUAL BOAT RIDE PARK」を通じてボートレースに興味を持ってもらおうという意図が感じられました。また声の出演として、中島愛さん、中野さいまさん、森永千才さんを起用と、アニメやゲームユーザーのツボを突いているあたり、かなりリサーチと費用をかけているように思えます。来年以降どうなるのか楽しみです。

  • TGSVR2022のスポンサーは昨年よりも増えたと思います。ラルフローレンはちょっと異色だと思ったのですが、すでにゲームアパレルやメタバースに進出済

  • UCCは日本のコーヒー業界として初のメタバース展開だったようです

  • VRでの公式ドリンクは昨年同様ZONe。TGSVRだけでなく、エンターテイメント特化型メタバースVARK内にも登場したことがあります。値引きQRコードが用意されていました

  • 「VIRTUAL BOAT RIDE PARK」がほかのスポンサーと決定的に異なるのは専用スペースを用意していること。コンテンツの量が多いためでしょう

  • 競艇色は非常に薄くなっていますが、全国24場のボートレース場に対しての25番目という設定や、6艇でコースを3周するところはボートレースを意識しているでのでしょう

  • メタバース上のボートレース場。ナイトレース前の足合わせ的に2艇が走っています(現実のボートレースでは、運転能力とともに舟の整備能力が問われており、整備の確認として仲間の船と一緒に全速走行を行って相対的なパワー確認を行います)

  • ボートに乗り込むといきなりレース開始! 競艇では一番不利と言われる6コーススタート。ちなみにボートレースは1周600mのコースを3周します

  • リアルのボートレースだと、勝負が決まるのが1週目の第1ターンマークですが、まだまだ様子見

  • おおっと! ワープ!?

  • コースはなぜか海へ! クジラの背中でジャンプすると……

  • 今度は宇宙へ!

  • 本来のボートレースではありえないようなコースで、障害物をよけつつ、3位で最終ターンマーク!

  • 見事一着でゴールイン! テーマパークのモーションライドみたいな画像でした

  • 単なるスポンサー出展を超える作りこみのコンテンツに、いまから来年のVRコンテンツがどうなるか楽しみです