西山朋佳白玲に里見香奈女流五冠が挑戦する第2期ヒューリック杯白玲戦七番勝負(主催:ヒューリック株式会社)の第4局が9月17日(土)に北海道札幌市「札幌ビューホテル大通公園」で行われました。結果は109手で西山白玲が勝ち、七番勝負の対戦成績を2勝2敗としました。
本局は西山白玲の先手番。手番が同じだった第2局同様、初手に▲7八飛と振り、早々に三間飛車を明示します。対して里見女流五冠は相振り飛車を思わせる順に進めますが、飛車をどこに動かすかはすぐには明らかにしません。結果として後手から△8八角成と角交換に出て、▲同飛に△2二飛という相向かい飛車になりました。お互いに飛車先の歩を切れる形になっていますが、すぐに換えた西山白玲に対し、里見女流五冠は駒組みを優先します。
37手目、西山白玲が▲7五歩と突き捨て、△同歩に▲7四角と空いた地点に角を打ちました。後手が何もしなければ▲8三角成から飛車先を突破する狙いです。里見女流五冠は△6一角と打って備えました。自陣に打たされたようにも見えますが、先手の角もそれほど可動範囲が広いわけではないので、ここからはお互いの角が活躍できるかどうかが争点のひとつになりそうです。
以下、後手も2筋の歩を換えて、さらに△1五歩と端攻めに出ます。先に打った6一角が攻めにも利いてきそうな展開です。しかしこの瞬間に西山白玲は▲5二歩と焦点に打ちました。後手が攻めの体勢を維持するならば△5二同角ですが、それは▲8三角成で先手の攻めの方が速くなります。△5二同金はやむを得ないところですが、これでまた後手の角を使うには一手必要となりました。ここからはまたしばらく細やかな手順が続きます。お互いが戦機をどこに求めるか。
明暗を分けたのは68手目の局面でした。西山白玲が▲5四歩と後手の玉頭にふわっと歩を垂らしたのが気づきにくい好手。飛車銀銀と3枚の駒が利いていますがどれで取っても形が崩れてしまいます。
対して△6二玉と玉自ら受けに出た手を里見女流五冠は後悔します。代えて△7四歩か△7二金がまさったとされました。△6二玉以下、先手は手順に飛車を6筋に転回して攻めを続けます。結果として後手玉が前に出たことで当たりが強くなったのが里見女流五冠にとってマイナスになってしまいました。
この手を境に形勢は傾き、以下は流れるような手順で西山白玲が寄せ切り、勝利。2勝2敗のタイに持ち込みました。改めての三番勝負で、どのような戦いがみられるでしょうか。次戦の第5局は10月1日(土)に奈良県奈良市「ふふ奈良」「瑜伽山園地 茶室:䕪庵」で行われます。
相崎修司(将棋情報局)