俳優の石黒賢が、10月18日にスタートするテレビ朝日系ドラマ『科捜研の女 2022』(毎週火曜21:00~※初回は2時間スペシャルで20:00~)に、シーズンを通した“敵”役で出演することが20日、発表された。

  • 左から石黒賢、沢口靖子=テレビ朝日提供

この秋テレビ朝日に誕生する新ドラマ枠「火曜21時」の幕開けを飾り、スタイリッシュな大人の科学ミステリーへと革新を遂げる『科捜研の女』。主人公・榊マリコを演じる沢口靖子らおなじみのキャストに加え、小池徹平が物理研究員・君嶋直樹役で登場することも発表されている。

そんな今作には「シリーズ史上最もクレバーな敵」ともいうべき新キャラクターが出現する。マリコに冷酷な敵意を向けるのは、天才物理学者・古久沢明(こくざわ あきら)。数々の作品で善人から悪役まで見事に演じ分けてきた石黒が不遜極まりない孤高の科学者・古久沢に扮し、初回2時間スペシャルを皮切りに、シーズンを通じてマリコの前に立ちはだかる。

古久沢は、科捜研の新メンバー・君嶋の元同僚で、京都環境生態研究センターに所属していた物理学者。初回2時間スペシャルでは彼らの元上司に当たる環生研センター長・奥崎譲(小宮孝泰)が火の気のない公園で突然焼死するという不可解な事件が発生する。これはいわゆる「人体自然発火現象」なのか。「科学は未来の人類のためにある」という壮大な信念を抱く古久沢は、自身が所属していた研究室の閉鎖を決定した奥崎に対し、「研究を阻む者は、未来の人類にとって害悪でしかない」と軽蔑の目を向け「排除されて当然」つまり殺されても仕方ない人物だと何のためらいもなく言い切る。

古久沢がなんらかの手段を用い、手を触れることなく奥崎の人体を発火させて死に至らしめたのか。マリコは事件の真相を解き明かすべく奔走するが、古久沢は“心情”という不確かなものを糸口に真実に近づこうとするマリコに「科学者として醜悪」と冷たく非難する。

沢口と互いにデビュー間もない10代の頃CMで初共演し、その後も同じ作品に名を連ねることは度々あったものの本格的な共演は今回が初めてだという石黒。「俳優ってワンシーン一緒にお芝居したら相手がどういう人かなんとなくわかるものですが、彼女の演技からはシリーズを長く背負ってきた責任感と誠実さが伝わってきました」と、対峙して改めて感じた沢口のひたむきさに感銘を受けたと語り、「そんなやっちゃん(=沢口靖子)に面と向かってキツイ言葉を言うのは芝居とはいえ、なかなか胸が痛いです(笑)」と本音を打ち明けた。

■石黒賢(古久沢明 役)

――オファーを受けたときのお気持ちを教えて下さい。

端的に言うと、脚本を読んで役どころが面白かったので、お引き受けしました。僕が演じる古久沢のセリフに、“人類の未来のためなら多少の犠牲は厭わない”というようなものがありますが、以前、科学者の方々とお話しさせていただいたら、似たような考え方をする方も多かったんですよね。俳優はどちらかというと感情に即する生き物なので、理系の人たちの考え方は非常に刺激的で面白いなと思った次第です。

――天才科学者・古久沢はどんな人物ですか? 演じられる上で気を付けているところは?

古久沢は非常に頭の回転の速い人物なので普段、僕がしゃべるスピードよりも1.5倍ぐらいの早口でセリフを言うようにしています。古久沢なら相手の言わんとしていることも先に理解してしまうでしょうし、かつ会話のテンポを楽しむタイプだと思うので、独りよがりになりすぎない速さで相手のセリフにかぶせるように話しています。マリコは心の機微がわかる、人間に寄り添う科学者ですよね。古久沢にとっては、どこか感情を優先するマリコの姿勢が、同じ科学者として我慢ならない。だからこそ“あなたは科学者として醜悪だ”と告げるのですが、それは彼女を認めているがゆえのこと。どうでもいい相手にはそんなことは言わないはずなので……。面と向かって言うのはある意味、フェアな男である証だと思います。

――榊マリコ役・沢口靖子さんの印象を教えてください。

やっちゃん(=沢口靖子)とは若かりし頃、CMで共演しましたが、丁々発止のやりとりをするのは初めてです。俳優ってワンシーン一緒にお芝居したら相手がどういう人かなんとなくわかるものですが、彼女の演技からはシリーズを長く背負ってきた責任感と誠実さが伝わってきました。そんなやっちゃんに面と向かってキツイ言葉を言うのは、芝居とはいえ、なかなか胸が痛いです(笑)。もうひとつ感じたのは、変わらなさ。芸能界において変わらないということは、逆に日々変わってきた、ということだと思うんです。だからそこにものすごい努力が感じられるし、お互いここまでよく頑張ってきたなという感慨のようなものがあります。彼女は本当に真面目で、努力家ですね。

――京都の撮影で楽しみにされていることは?

京都の撮影所にはなじみのスタッフも多くいますし、内藤(剛志)さんも楽しく優しい方なので現場の雰囲気は素晴らしいです。今のところタイトなスケジュールで休みはないのですが、普段、京都で休みが入ると寺社めぐりを楽しみます。亡き大杉漣さんに紹介された店で“MY自転車”を数年前に購入、今回もそれに乗って街に出たいですね。

――視聴者のみなさまに向けてメッセージをお願いいたします!

ひとつの作品を20数年続けるのはものすごいことですし、俳優にとって代表作があるのは素晴らしいこと。そういった作品に参加できるのを心底うれしく思っていますし、昔から知っているやっちゃんとお芝居できることに大きな喜びを感じています。古久沢が最終的に“シロ”なのか“クロ”なのか、プロデューサーに聞いても全然教えてくれないので(笑)、限りなく“クロ”く演じていますが、みなさんも古久沢がどんな謎を秘めているのか、シーズン通じて楽しみにご覧いただけたらうれしいですね。